8話 ドリセミ反撃

2人の兵士が拷問部屋に駆け付けた。
部屋の中には、スカーレット、ドリー軍曹、カレンの3人がいずれも失神して倒れていた。
兵士の1人がもう1人の兵士に言う。
「カレン様と男が倒れているぞ。一体何があったんだ?」
もう1人が答える。
「さっばりわからん。まあ俺達の命令は女を連れて行く事だ。この場はこのままにして、先を急ごう」
2人はスカーレットを担いで地下へと急いだ。
           

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韓信「そろそろナットネットの効果が切れるぞ。ケイちゃん、次ないの?次」
ケイ「ありました!グラビディ・ボム。重力を支配して相手を動けなくする優れものです」
早紀「色々持って来て、仕事熱心ね」
韓信「効果はどのくらい持つの?」
クイ「3分です!」
韓信「また3分?まあいいや。それすぐ渡して」
ナットネットの効果が切れて兵士達がまた近づいてこようとする所に、韓信がグラビディ・ボムを投げ付ける。
重力変化が起きて、兵士達がびたっと床に張り付き動けなくなった。
再び3分が経過した所で、韓信がケイに言う。
「次ないの?」
ケイがカバンをゴソゴソ探していると、上官が叫んだ。
「そこまでだ!こっちを見ろ。これ以上抵抗するならこの女を殺す!」
韓信達が兵士達の方を見ると、そこには、銃を突き付けられたスカーレットの姿があった。
                 
上官が叫ぶ。
「武器を捨てて、こちらにゆっくり歩いて来い」
韓信達は仕方なくその指示に従おうとする。
上官は、兵士達に小声で指示を出した。
「十分近づいたら、全員、撃ち殺せ」
その時、スカーレットに銃を突き付けている兵士の後ろから黒い手がニュッと伸び、襟首を掴んで天井に叩き付けた。
「ぐぅはあー!」
悲鳴を聞いて、兵士達が振り返る。そこには、黒い鎧の男が立っていた。D卿である。
驚いた4人の兵士が、D卿に向かって発砲する。
      
キィーン、キィーン、キィーン、キィーン
銃弾は全てD卿の鎧に跳ね返された。跳ね返った一発が1人の兵士の足に当たった。
上官が叫ぶ。
「撃つな!この密集した中では味方に当たる!」
うろたえた1人の兵士の腹に、D卿が強烈なパンチを打ち込む。
兵士は吹っ飛び後ろの兵士も巻き込んで5、6人が将棋倒しにぶっ倒れる。
D卿は倒れているスカーレットを抱き抱える。スカーレットが目を覚ました。
「あなたは誰?」
D卿「………」
           

兵士達が警棒を手にD卿に襲い掛かる。D卿は片手でスカーレットを抱えたまま向かって来る兵士に風車を決めた。
それを見た早紀が戦列に加わり、風車を決める。
D卿の風車と早紀の風車が交差し、兵士達はばたばたと倒れて行く。
大乱戦の中、韓信がケイに言った。
「よし、そろそろ頃合いだ。ケイちゃん、火を付けろ」
ケイが答える。
「はい、この液体燃料入りペットボトル、またの名を火炎瓶で全て燃やしちゃいます!」
ケイが火炎瓶を投げると、工場はたちまち業火に包まれる。
ゴオオオオオ
韓信は小豆長光を抜くと、散歩でもするかのようなゆっくりとした足取りで乱戦の中に分け入り、兵士達を次々に刺していく。
グサ、グサ、グサ…
                  
夢中になって火炎瓶を投げているケイの姿に気付いた兵士が走り寄って来た。
「そこの女、やめろ!」
ケイはカバンから鎖を取り出しながら叫んだ。
「私に近づかないで!やけどするわよ」
ケイの言葉にお構いなしに兵士は警棒を振り上げ突っ込んで来る。ケイの振った鎖が兵士の足に当たる。
バチバチバチ
       

兵士はバタッと床に倒れた。
「これは蝉丸様から借りた鎖よ。高圧電流が通してあるわ」
ケイは倒れている兵士にそうつぶやくと、また火炎瓶を投げ始めた。
上官は乱戦から離れ、戦況を見ていた。そして韓信の動きを目で追いながらつぶやいた。
「野郎、好き勝手しやがって。あいつだけでも仕留めてやる」
スコープを覗き、狙いを定めようとするが、韓信の姿がない。
「おやっ?奴はどこに行った?」
………グサッ
腹に深々と刀が刺さり、上官は床に倒れた。
韓信がみんなに言った。
「そろそろ引き上げようか」


※この物語はすべてフィクションであり、登場人物および団体は実在しないものであります。

 

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