6話 カタコンベ

ケイが息を弾ませながら、ホテルの部屋に飛び込んで来た。
「情報仕入れました!古城の2キロ西の森にあるカタコンベ(地下墓地)は、古城と地下で繋がっています」
韓信が答える。
「よしお手柄だ!そこから侵入しよう。ドリー軍曹、少し休んでから行きますか?」
特訓でヘロヘロのドリー軍曹が答える。
「いや、今からすぐに行きましょう」

4人は、古城から2キロ程西にある森に向かった。
生い茂る森の深くにカタコンベの入口はあった。訪れる者もいないのか、扉にはしっかり鍵が掛かっている。
スパッと韓信が鍵を斬り扉を開ける。4人は地下に通じる階段を下りる。
中は真っ暗だ。壁に手をかけた早紀が、何かカサカサした物に触る。ケイが何かゴソゴソした物につまずく。
「こう暗くては何も見えないな」
そう言って、韓信が松明に火を付ける。松明で早紀を照らす。早紀が触っていたのは、壁からぶら下がっているミイラの顔だった。
早紀「きゃあー!」
今度は松明でケイを照らす。ケイがつまずいたのは棺桶であった。小窓からミイラが顔を覗かせている。
ケイ「きゃあー!」

壁にミイラ、床に棺桶といった中を4人は進んで行く。
あの世の風景とはこんなものではないかと思われる入り組んだ通路をしばらく進んだ所で、ドリー軍曹が顔に付いた蜘蛛の巣を払いながら叫んだ。
「ぺっぺっ、見て下さい。天井から光が漏れています!」
韓信が天井の扉を押し上げ上の部屋に忍び込む。3人が後に続く。
ケイ「どうやら城の内部に到達したようですね」
韓信「ここは例の化学兵器工場のようだな」
早紀「どうする?」
韓信「ちょうどいい、燃やしちまおう」
ドリー軍曹「ちょっと待って下さい。スカーレットを救出してきます」
韓信「一人で行けますか?」
ドリー軍曹「大丈夫です!」
ジリリリリリ…
センサーに反応したのか、けたたましく警報が鳴った。
韓信「ちっ、もう見つかったか…」
向かいの入口から100人程の兵士達がなだれ込んで来る。
上官と思われる男が叫んだ。
「また出たな鼠どもが。お前達に勝ち目はない。大人しく武器を捨てて降伏しろ!」
韓信が叫び返す。
「うるせー、お前らの悪さ見ちゃったよ。この工場、全部燃やすから覚悟しな!」
上官がさらに叫び返す。
「何だとー、全員、奴らを包囲せよ!」
   
兵士達がライフルを撃ちながら、じりじり近づいて来る。銃弾が嵐のように飛んでくる中、韓信がドリー軍曹に言う。
「ここは私達に任せて、今のうちにスカーレット救出に向かって下さい」
ドリー軍曹は頷くと、兵士達の後ろに回り込み、入口から2階に向かった。

韓信「さあ敵が来るぞ。ケイちゃん、何か足止めする道具ないの?」
「ちょっと待って下さいね」
ケイはそう言って、カバンの中をゴソゴソ探すと、カプセルのような物を取り出し、2人に渡した。
「これは、ナットネットという物です。このカプセルの中には、納豆を原料とする粘着物質が入っいて、相手に当たると粘着物質が絡み付き、動きを止める事ができます」
2人がすぐに投げようとするのを、ケイが止めた。
「ちょっと待って!ナットネットは中の粘着物質を掻き混ぜる事により、さらに粘着力が高まります。ここに箸があります。さあ、みんなで掻き混ぜましょう!」
銃弾が降り注ぐ中、必死でナットネットを掻き混ぜる3人。
「もういいでしょう。みんな、ナットネットを投げて!」
ケイの合図と共に、兵士達にナットネットを投げ付ける3人。
   
ナットネットが1列目の兵士達に絡み付き動けなくなる。
それを見た2列目の兵士達が救い出そうとして、また搦め捕られる。
3列目の兵士達はその場から離れようとするが、もがく2列目に引きずりこまれ搦め捕られる。
上官が忌ま忌ましそうに叫ぶ。
「お前達、何をやっているんだ。その物質に近づくな!奴らの狙いは捕らえてある女だ。誰かあの女を連れて来い!」
兵士達の大混乱の様子を見ながら、韓信がケイに言った。
「いいぞケイちゃん。ところで、ナットネットの効力はどのくらい続くの?」
ケイがきっぱり答える。
「3分です」
韓信「3分!それだけ?すぐに次の道具用意して!」
   

 

※この物語はすべてフィクションであり、登場人物および団体は実在しないものであります。

 

 

 

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