2.昼下がりの訪問者

 

ドリセミグループの本部は五本木ヘルズの高層ビルの中にある。
昼下がりの12階の会議室で、お杏を講師としたドリセミヒロインの勉強会が開かれていた。
お杏「過去に行くという難問に対し、法力に活路を求めた韓信は…」
上空でけたたましいヘリの音がする。窓の外に目をやったパルが悲鳴を上げる。「きゃあーっ!」
お杏「パル、どうかしましたか?」
パル「窓の外に黒い鎧の男がいます!」
お杏が確かめようと、窓の方に向かおうとした瞬間、窓をぶち破り、黒い鎧の男が部屋に侵入して来た。
ガシャアアアーン
お杏「あなた誰なの!」
男は黙って辺りを見回す。杏華が叫ぶ「この男はD卿よ!」
D卿がメーティスの姿を見つけ、ゆっくり近づいてゆく。美架とシータがD卿を取り押さえようと組み付くが、振り払われ壁に叩き付けられる。
メーティス「ドリ…」
D卿は、メーティスに当て身を食らわせ失神させる。メーティスを肩に担いだD卿が侵入した窓に向かっていく。
パルがD卿の足にしがみついて止めようとするが、軽く蹴り飛ばされる。
「待ちなさい!」、お杏が短刀を抜いて、背後から斬りかかる。D卿は振り向きもせず、お杏の脇腹に手刀をのめり込ませた。
「うぐっ」お杏は苦しそうに膝をついた。
D卿は、ヘリから降りる縄梯子につかまり上空へと消えた。
騒ぎを聞き付け、蝉丸様が駆け込んで来た。
「何じゃこりゃあ〜!」
ヒロイン達が倒れている。杏華が苦しそうに答える
「D卿が来て、メーティスを連れ去りました…」
蝉丸「D卿ー!」
お杏「この紙切れが落ちていました…」
蝉丸は、紙切れを手に取り読んだ。それは、挑戦状のようであった。
  『ドリセミグループへ
   長年の決着をつけよう。
   拷巣島で待つ。
     Xより 』
蝉丸は、対策を立てるため、韓信の携帯に電話した。ちょうど成田に着いた韓信が電話に出た。
蝉丸「韓信さん、やられた!本部にD卿が乗り込んで来て、メーティスを掠っていった」
韓信「D卿ですって?こちらもやられました。イーグルを正体不明の奴らに掠われました」
蝉丸「イーグル?あの皮無しの…?」
韓信「……そうです…」
蝉丸「とにかく本部に来てくれ。甚兵衛様にも連絡頼む」
韓信「すいません…甚兵衛様もイーグルと一緒に掠われました…」
蝉丸「なーにぃ!甚兵衛様も掠われたー?」

        ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

韓信達が本部に着いた。すでに、恵利華、ジェーン(ドリー軍曹一門)が駆け付けていた。
蝉丸が、韓信に声をかける。
「やあ、韓信さん久しぶり。横にいる方は、どなたですか?」
早紀が名乗った。
「私は早紀。加賀美早紀です。流派は、御獄韓信流」蝉丸「早紀ちゃんね、よろしく」
続いて、韓信が名乗ろうとする。
「私は韓信。趣味は、パチ…」
蝉丸がそれを遮った。
「あー、韓信さんは名乗らなくていいです。今、急いでるから」
蝉丸が、D卿の落としていった紙を全員に見せた。
「誰か、ここに書かれている拷巣島について何か知っている者はいないか?」
お杏が答えた「私は、ドリー軍曹から拷巣島の話を聞いた事があります」
一同がどよめいた。
拷巣島は、N県N市の南東19キロの地点に浮かぶ島。かつてこの島は、良質な強粘炭が取れ炭鉱の島として知られていた。
島の中には住宅、店舗、病院、映画館寺院まで揃っていたと言う。
しかし、エネルギーが石炭から石油へと代わっていく時代の流れを受け、1976年炭鉱は閉鎖、島民も全員島から離れ無人島となった。
建物崩壊の危険があるため現在は、立ち入りも禁止されている。
2007年、ある資産家がこの島を買い取ったという。
島の名前「拷巣島」は2008年、この資産家からの依頼で甚兵衛が命名した。
お杏「ドリー軍曹はいつかドリセミグループが拷巣島に渡る日が来るだろうと予言していました。その日のために、ドリー軍曹は東京湾に船を用意したと聞いています。その船の名は、潮丸」
蝉丸「ドリー軍曹はどうしてお杏さんにだけ、その話をしたのだろう?」
お杏が恥ずかしそうに答える「それは…ドリー軍曹が私の事を好きだから…」
一同、再びどよめく。
蝉丸「よーし!みんなで潮丸に乗って、拷巣島に向かおう!」

 

TOP   BACK   NEXT

右クリックを禁止する