1.イーグル救出

 

ここはクロノス。一台の護送車が山道を走っていた。

ニック「本部も酷い事をする。スパイを散々拷問にかけて、用が済んだら処刑だとさ」

レイス「あのスパイ、体の皮を剥がれて、生きているのが不思議なくらいだ」

ニック「あっ!道路の真ん中に男が立っている!」

男は、甚兵衛であった。胴太貫を抜いて、構えている。

レイス「スパイの仲間かも知れん。構わん。轢き殺せ!」

甚兵衛「きぃーえーぃ!」甚兵衛は、護送車と激突する瞬間、体をかわし、刀でタイヤを斬り裂いた。護送車は、カーブを描いてガードレールに激突した。

ガシャアアーン!

ニックは、本部に連絡するため、無線を握った。

「緊急事態!こちら、護送……ふぐはあー!」

ニックの腹に、ドア越しに刀が突き刺さった。刺したのは、顔半分を黒いマフラーで隠した男であった。

兜と鎧から、それが韓信である事は、すぐにわかった。それを見た助手席のレイスは、悲鳴を上げながら、車から飛び出した。

外には、黒いコートの女が立っていた。

レイス「お前は誰だー!」女「私は早紀よ」

レイスは、警棒を振り上げ早紀に殴り掛かる。早紀はそれをひらりとかわすと、レイスの手首を掴み、「※風車…」と呟いて、自ら三回転した。

手首を押さえてうずくまるレイス。それを見た早紀は村正を抜き、レイスの後頭部に(峰打ちで)振り下ろした。レイスは悲鳴を上げ失神した。

※風車は、韓信が女の子のために考えた痴漢撃退法。触られた瞬間、相手の手首を掴み、自らが回転し、捻りを加える荒技。

合気道で相手の手を掴んで一回転させるのの逆バージョン。

韓信は、護送車の後ろ扉を斬り裂いた。中には、体中に包帯を巻いた女が座っていた。

韓信「イーグルだな?」

イーグル「韓信か…」

韓信は、「これを飲め」と言って、水筒を渡した。 イーグルはそれを黙って飲み干した。そして深い眠りに就いた。

水筒の中身はバイオ絵夢。医学の天才、江角様が作った薬だといわれている。

かつて韓信は過去にタイムスリップするという難問を法力に頼る事で解決した。

今回、皮のない女を仲間にするという難問を解決するため、江角様を頼った。

この薬は、驚異的な治癒の効果があるが、飲むと2日は目を覚まさないという…

3人は眠っているイーグルを自分達の車に運び、空港を目指した。日本に帰るために。

30分程進むと、突然、上空に3機のヘリが姿を現し、機関銃を撃ってきた。

ヅガガガガ…

韓信「クロノスの追っ手ではなさそうだな…」

ヘリが車の前方に回り込むように着地し、中から20人程の兵士達が降りて来た。兵士達は、こちらに向かって突進して来る。

韓信達は応戦するため、車を降りた。大乱戦の中、韓信は、イーグルを連れ去ろうとする別働隊の姿を発見する。

韓信は「お前達、何のつもりだ!」と止めようとするが、兵士達に囲まれ、前進する事が出来ない。

5、6人の首を撥ね飛ばしながら、なおも前進しようとするが、また囲まれる。早紀も人の壁に阻まれ、前進する事が出来ない。

そんな中、甚兵衛が囲みを突破し、イーグルを乗せたヘリに迫る。

兵士の1人が叫ぶ「あっ!甚兵衛だ。この男も捕らえろ」

兵士達が捕縛用の縄を投げつける。絡み付く縄に構わず、兵士を斬る甚兵衛。

兵士「荷車で囲め!目潰しの粉を投げろ!」

兵士達は、大きな被害を出しながらも、遂に甚兵衛を捕らえた。甚兵衛はぐるぐる巻きにされ、ヘリに押し込まれた。

韓信と早紀が兵士達を残らず倒した時には、イーグルと甚兵衛を乗せたヘリは地上を離れていた。

2人は、ヘリが見えなくなるまで悔しそうに空を見上げていた。

韓信「日本に帰ろう。帰って、蝉丸様と対策を立てよう」

早紀「そうね」

 

 

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