迫る危機 挿絵:総統R様[強化改造人間・装甲強化服研究所]
よう子達は探索隊からの連絡を待っていた。その別荘にカルバリン砲(戦国時代の大砲)が打ち込まれた。
「ズカアアーーーン!!」
将棋をしていた韓信と甚兵衛の将棋盤の上にパラパラと天井の破片が落ちる。
窓の外に目をやった杏華が叫ぶ。
「こちらに数百人の兵隊が向かって来ます!」
韓信「なにー!」
美幸「先頭に馬に乗せられた裸の女の人が見えます。」
甚兵衛「あれはあけみだ!」
赤装束の四人衆の1人が叫ぶ。
「お前らは包囲されている。お前らの居場所はこの女が全部しゃべった。総攻撃の前にチャンスをやろう。
お前らの誰かが私達四人衆に勝つ事が出来たら、この女は返してやろう!」
それを聞いたよう子がすぐに出て行こうとしたが、甚兵衛が止めてこう言った。
「弟子の責任は、師匠である私の責任。私にけじめをつけさせて下さい。」
甚兵衛は外に出て行く。
韓信が美幸を呼んで耳打ちした。
「甚兵衛様に目立たぬように手助けしてあげて。」
美幸はうなづくと外に出て行った。
甚兵衛は四人衆の前に立ち胴太貫を抜きながら言った。
「私がお相手しよう!」
四人衆は刀を抜いて甚兵衛を囲んでぐるぐる回りだした。
甚兵衛が前進すると輪が広がり、後退すると輪が縮まる。甚兵衛は間合いが取れず苦戦した。
1人が切りかかり、甚兵衛の腕から血がにじむ。
その時、物影から美幸が乳母車を包囲陣に向かって、勢いよく押し出した。
乳母車は陣の中心に向かって突っ込んで来た。甚兵衛は転がりながら乳母車の骨組みを取り外す。
カシャッと繋ぎ合わせるとそれは長い薙刀となった。甚兵衛は薙刀をビュンビュンと力強く振り始めた。
四人衆はあせって甚兵衛に一斉に斬りかかった。
甚兵様は独楽のように一回転しながら薙刀を振ると、四人衆は全員悲鳴を上げながら倒れた。
そこに美幸が菊一文字を抜きながら駆け寄って来た。
甚兵衛は、フーーッと大きく息をはいた。
甚兵衛が馬からあけみを下ろした。
あけみは、「師匠、ごめんなさい」と涙を流した。
甚兵衛は、「いや、いいんだ。それより大丈夫か?」と労った。
四人衆を倒された兵隊が叫んだ「3人共斬り殺せ!」
10人の兵隊が一斉に斬りかかる。
その瞬間、1人の男が風のような速さで兵隊達の間を擦り抜け、全員斬り倒した。男は、虎徹を持った 蝉丸だった。
「東京から今着いたよ。」
兵隊達がまたも叫ぶ。
「刀でだめなら銃で討ち取れ!」10人の兵隊が銃を構える。
しかし次々に撃たれ、ばたばたと倒れていく。恵利華の狙撃によるものだった。兵隊達は大混乱し、先を争い逃げ出した。