第3話 メガ・イカロスの脅威

反乱者の隠れ家では、やよいが長老に事態を報告していた。
「すいません…私達を逃がすために、チサトさんが囮となり、警官に捕らえられてしまいました」
長老が答える。
「あなたが詫びる事はない。ユキを助けてくれて、ありがとう。
だがチサトの事が心配だ…この地域は、アラン提督によって支配されている。
おそらくチサトは提督本部に連行されたに違いない」
長老は、チサト奪還のため、武術に優れた三姉妹を提督本部に潜入させる事にした。
名をカリサ三姉妹という。

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拷問部屋ではチサトが両足を床に固定され、部屋の中央に立たされていた。
椅子に座ったレオンがチサトに向かって言う。
「早く白状して、楽になりなよ」
チサトがきっぱりと答える。
「話す事は何もない」
レオンが言う。
「では仕方ないね。拷問再開するか。天井を見てごらん」
チサトが天井を見上げた。ゆっくりと天井が下がって来るのがわかる。
レオンが言う。
「しっかり支えないと、ぺしゃんこになるよ」
ググ…ググ…
不気味な音を立てながら、頭の位置まで下がってきた天井を、両腕に力をこめ支えようとするチサト。
(何て重い天井なの!腕が痺れる…)
ビシッ!
無防備なチサトの乳房に、レオンが笑いながらステッキを打つ。
思わず片手を放してしまうチサト。肩に天井の重さがのしかかる。
ググ…ググ…
片膝をつくチサト。
ググ…ググ…
とうとう床にペタリと座り込み、あぐらをかく姿勢になってしまうチサト。
「いい眺めだねぇ」
レオンがからかうように、チサトに言う。
海老責めのような形になったチサトに、更に、天井の重さがのしかかる。

            
「うう…うう…」
天井と床に挟まれ、苦しそうにしているチサトにレオンが聞く。
「隠れ家の場所は?」
「言わな…い…」
チサトは小さくそう答えると失神した。

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提督本部に侵入した三姉妹が、薄暗い廊下を進む。
警備の兵士に背後から忍び寄り、捕縛用のロープを使い絞め殺すとさらに先を目差す。大広間に出た。
カシャ!
急に照明が点灯し、辺りが明るくなる。広間の奥に、十人の屈強な男が並んでいる。
「ようこそ、お嬢さん達。我らは危機を好機に変える集団、メガ・イカロス。
私は、隊長のナカジマ。探し物は見つかりましたかな?」
三姉妹がナカジマに向かい一斉に捕縛用ロープを投げつける。
ナカジマの首と腕にロープが絡み付く。ロープに力を込め、締め上げようとする三姉妹。
ナカジマがフッと笑った。
怪力で三本のロープをぐいっと引っ張り三姉妹を手繰り寄せると、一人ずつ壁に向かって投げ飛ばした。
壁に叩きつけられうずくまる三姉妹を、残りの男達が取り囲み、鉄棒を振り下ろして、撲殺した。
男の一人がナカジマに聞く。
「こいつらの死体、どうしますか?」
ナカジマが答える。
「本部の門前にでも転がしておけ。奴らの仲間にわかるようにな」

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吊り天井の拷問から解放されたチサトは、気を失ったまま柱に縛り付けられていた。
「いつまで寝てるんだい?さあ拷問再開だよ!」
レオンの荒々しい叫び声に目を覚ますチサト。
レオンが強力な水流のホースで、チサトに水を浴びせ掛ける。
「今度は水責めだよ!」
ズザザザザザーッ
チサトの顔や乳房を、激しい水流が襲う。
ぶるぶると乳房を揺らしながら、必死で堪えるチサト。
その様子を興味深そうに、小窓からのぞく長身、金髪の男がいた。アラン提督だ。
側にいたナカジマに提督が聞いた。
「どうだ、あの女、白状しそうか?」
ナカジマが答える。
「なかなかしぶとい女です。白状させるには時間がかかりそうです」
提督が言う。
「どうしても白状しないようなら、公開処刑しろ。奴らの仲間をあぶり出すのだ」
レオンがチサトに水流を浴びせ続けながら叫んだ。
「悲しいお知らせだよ。お前を救いに来た三姉妹、死んだよ!」
(カリサが死んだ!…私のために…すまない…カリサ…)
びしょ濡れのチサトの顔に涙がこぼれた。

 

            

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