よう子vsヨネール

 

階段の所まで来て、よう子は立ち止まり、上の階を見上げた。
よう子
「決着をつけなくちゃ。見守ってくれる?」
大きな瞳で韓信を見つめた韓信はドキドキしながら
「見守っちゃいますです」と答えた。
2人が向かう先は5階の一番奥、ヨネールの部屋だ。
バタンとドアを開けると、そこには、ヨネールが正宗(贋作)を抜いて立っていた。
ヨネール
「貴様、韓信だなよう子と2人がかりで来る気かい?」
韓信
「いいえ、私は見学です。」と言って、刀を床に置き体育座りした。
よう子の流派は、韓信と同じ、御嶽(おんたけ)新陰流。主な使い手に中村主水がいる。
よう子は御嶽山まで行ってこれを会得した。ちなみに韓信は通信教育。
よう子とヨネールは刀を抜いて向き合った。
ヨネールの上段から振り下ろされる刀を、よう子は胸を揺らしながら巧みによける。
2人が
ガキッと刀を合わせる。
ヨネールが力任せによう子を後方に突き飛ばす。
よう子はすぐに立ち上がり、大きな瞳でちらっと韓信を見た。
韓信は
ドキッとした。そして思った。
(汚くても何でも構わねえ本当に危ない時は、後ろから斬りつけちゃおう。)

今度は、よう子が猫のような敏捷な動きで、ヨネールの胴に斬りかかった。
ヨネールはひっくり返りながら辛うじて避けた。

2人共この辺で決着をつけようと思ったのだろう。お互いに刀を鞘に納めた。
居合の構えに入った。2人が高速ですれ違う。
交差した瞬間、時が止まった。そして…
ヨネールがどさっと倒れた死んではいないようだ。荒い呼吸が聞こえてきた。
やがてそれは啜り泣きに変わった。
よう子は、韓信に言った。
「さあ行きましょう!」
韓信は元気よく答えた。
「はいよー」
2人は部屋を出た。
その後のヨネールの消息はわからない。一説には、故郷のドイツに帰ったとも言われている。

2人が外に出てみるとドリー軍曹やみんなが集まっていた。
韓信はよう子を紹介しようとしたら、よう子の姿がない。
何と向こうの方で蝉丸様と話しているではないか。
ドリー軍曹から今までの状況を聞いていたらよう子が戻って来た。
韓信
「何、話してたの?」
よう子
「内緒。」
韓信
「あーそう。ところでうちらのチームも仲間のアレシアを助けに行く部隊に加わる事になったよ。」
よう子
「大暴れするの?」
韓信
「いや、うちらのチームの位置付けって基本、殺人鬼とかでしよ。あんまり目立たず後方支援とかでいいんじゃない?」
よう子は
「そうだね。」と楽しそうに笑った。



(終)



※以後の動きは、
ドリー軍曹のブログ「ドリセミ備忘録」でどうぞ。

 

 

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