春の訪れを告げる暖かい日差しの中、ライムは一人悩んでいた。
白いテーブルの上には小さな赤い箱。かわいらしい青いリボンがクロスしている。
(今年こそは・・・渡したいんだけどなぁ)
どこからかやってきた2羽の小鳥がテーブルの上に舞い降りた。
チュンチュンと鳴きながら、赤い箱やライムの指に擦り寄ってくる。
「ふふっ、あなたたちは仲が良くていいわね。」
今週末はバレンタインデー。昨年はウィルにチョコを渡そうとした時に、運悪くリィナが割り込んできた。
『ウィルさまぁ〜、リィナの手作りスペシャルチョコ食べてください!』
『えっ、あははっ・・・ありがと。』
『あらっ、お姉さまいらしたんですかぁ?』
ピキッ・・・!
一年前の出来事を思い出したライムは、無意識に猛烈な殺気を放出していた!
驚いた2羽の小鳥が慌てて飛び去ってゆく・・・
とにかく昨年はチョコを渡すタイミングを逸したまま、仕方なくライムは用意したチョコを処分したのだ。
ライムはつまらなそうに赤い箱をつんつんと弾いてみる。
そのとき、ライムの後ろからリィナが顔を出した!
「何やってるんですかぁ?」
「なっ、ななな、なんでもないわよっ!!」
慌ててチョコを隠すライム。
「ふぅん・・・へんなライムお姉さま」
「あなたこそ何してるのよ?」
「私は明日のためにスラチョコを作ってるところですよ〜」
片手で握り締めたエプロンをブンブン振り回すリィナ。
昨年と同じく手作りチョコを製作するらしい。その辺のまめさ加減は見習うべきものがあるのだが・・・
(それってスライムチョコ・・・?)
首をかしげるライムを残して、リィナは台所へと走り去っていった。
同じ頃、ライムとリィナがいる場所から30分くらい離れた町 ―――
ウィルとマルクは二人で買い物に来ていた。
雑貨や食料品、それ以外の頼まれもの・・・中には恥ずかしい買い物もあったが、順調に店を回る。
先週行ったBFタッグマッチに敗れた二人は、今週一杯買出し当番だ。
ライムとリィナのコンビに先鋒のマルクが瞬殺されてしまい、そのあとのウィルは二人がかりで責められ・・・健闘むなしく惨敗。
ふたりはコンビ戦の難しさを身をもって理解した。
「これで最後ですね・・・」
紙袋いっぱいにオレンジを購入したマルクは、過酷な買出しの終わりに一息ついた。
そのときだった。
「師匠、あれっ」
マルクが大きな声を出しながら、ウィルの後ろを指差した。
振り返ったその先には大きな噴水があった。
湧き出る水が女性の形を成して、広場の人々に襲い掛かっていく。
半透明の美女が噴水から100体ほど現れたところで噴水の水が枯れ果てた!
「うわあああっ」
『逃がさないわよぉ・・・ふふっ』
「や、やめろおお!離れてくれ!!」
『まあ! 女性に向かって手をあげるなんて・・・お仕置きしちゃう』
暴れまわっている美女たちはまぎれもなくスライムだった。
抵抗する町人たちは下半身を飲み込まれたり、背中を抱きしめられたり、女性であっても容赦なく絶頂させられたり・・・快楽地獄へと叩き落された。
「ジェルスライムか・・・本体はどこかな?」
このままでは町の人たちが全員スライムによって淫魔化してしまうだろう。
しかしそれは、もしもここにウィルとマルクがいなかったら、の話だ。
「マルク、ここは僕が止めるからライムを呼んでくれる?」
突然の惨劇に呆然となっていたマルクは師匠の声で我に返った。
「は、はいっ! わかりました」
慌てて走り出すマルク。
しかしその行く手を3人のスライムが遮ろうとする!
「ど、どいてっ・・・!」
マルクは両手に冷気を集める。
ウィルから教わったとおりに手のひらの中で冷気を凝縮しつつ、敵に放つ!!
『ひゃあぁ』
『凍っちゃう!』
『ああぁぁ・・・』
目の前の3体のスライムの動きが止まった。
その脇をすり抜けるようにしてマルクは町の外へと駆け抜けていった。
『お仲間を逃がしたの?クスクス』
『あなた一人でどうしようというのかしら?私たち全員を満足させられるの?』
「そうだね。」
ウィルは落ち着いた表情で両手に魔力をためている。
『じゃあ、みんなで一気に搾ってアゲル!!』
彼を取り巻いていた数体のスライムが一斉に飛び掛ってきた。
だが彼女たちがウィルの体に触れることはなかった。
「・・・次は?」
ウィルの体の手前で全てのスライムたちが凍り付いていた。
動けなくなった仲間を見てさらに十数体のスライムが集まってきた!
『お、おのれっ』
『よくも私たちの分身を!!』
怒りに震えるジェルスライムたちを見て、ウィルはマルクが早く戻ってくることを祈った。
つぎへ
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