遠くで僕を呼ぶ声がする。
「マ・・・ク、起き・・・ルク・・・起きろ〜〜!」
白い霧の中をさまようような感覚が次第に薄れてゆく・・・
まだ重いまぶたを開くと、そこには師匠が・・・
ウィルさんが心配そうに僕を見つめていた。
「おお! マルク、目をあけたな。
よし、今つめたい水を飲ませてやるからな・・・」
師匠はそういい残して僕の視界から消えて行った。
代わりに僕の顔を覗き込む綺麗な女性・・・ライムさんだ。
あれ、なんだか機嫌悪そうだぞ。
そういえばライムさんにタフネス特訓を受けていたはずなんだけどな・・・
記憶が途切れているし、なんだか体がだるくて、指一本も動かせない。
「・・・ウィルは心配性なんだから。研修生を甘やかしてどーすんの!?
ほら、あなたもさっさと起きなさいよ!!
それともミニライムをもう一体追加してあげようか!?」
・・・ライムさんがなにかしゃべってる。なにをいってるんだろう?
ぼんやりと考え込んでいると僕の股間が急速に痺れて・・・どんどん体の隅まで広がっていく!
「うわあああぁっ!!」
悪夢にうなされて目覚めるように、ガバッと飛び起きる僕!
意識より先に体のほうが無理やり目覚めさせられた。
恐る恐る僕は視線を自分の股間に向けた。
きゅきゅきゅっ、クキュ、クチュチュ・・・くにくにくにっ!
股間に張り付く透明な妖精・・・
柔らかい小さな手で一生懸命に僕を愛撫している。
しかも二体に増えて・・・いる!?
その妖精の片割れがペニスの先端を抱きしめながら、
チュチュッとキスをしてきた。
「はぁぅっ!!! 起きます、起きますっ、起きてます!!!」
ああ、これか・・・股間に走るこの刺激が僕をたたき起こしたんだ。
そして僕の体中から一気に汗が噴出した。
「ふんッ、はじめからそうやって起きればいいのよ・・・」
さらに、ライムさんは僕のペニスの先端をコネコネしてきた。
悶絶する僕。なんていう強引な起こし方・・・
「うふふっ、おはよう♪
あなたってタフネスは未熟だけど・・・ホント、絶倫だよね?」
なんのフォローにもなってないですよ、ライムさん。
軽くひきつった表情の僕。
「ぐううぅ・・・・・・ははっ・・・おかげさまで・・・」
淫らな笑みを浮かべながら、僕を見つめるライムさんと
その傍らに初めて見る可愛らしい女の子・・・だれだろう?
「紹介するわ。この子はリィナ・・・私の妹みたいなものよ。」
「マルクさん、はじめましてですぅ♪」
ペコリとお辞儀をするリィナさん。
か、かわいいな・・・本当に「妹」って感じだ。
なんだかフワフワした印象の優しい女の子。
でもライムさんの妹分ってことは、もしかすると・・・まさか・・・
「あと、この子も淫魔だから。しかも強いわよ?」
あっさりと僕の不安を的中させるライムさんの一言。
なぜこの家には淫魔が普通にいるのだ!?
ウィルさんの家はサキュバスのペンションなのだろうか。
目覚めたばかりで体も心も落ち着かない。
師匠が水を持って返ってきた。
「ようやく目覚めたみたいだね・・・
まったく、いつもやりすぎなんだよ。ライムは!」
ライムさんは師匠からの追及が面白くなさそうだった。
「だって人間相手に修行なんてやったことないし、
加減がわからなかったんだもん。しょうがないじゃない。
それとも私が悪いって言うの?」
ライムさんに逆ギレされて引き下がる師匠を見ながら、リィナさんもくすくすと笑っていた。
「ライム先輩、相変わらずなんですねぇ♪
その強気というかぁ・・・男前なところ?」
リィナさんは優しい口調で先輩にキツイ一言を浴びせる。
「なっ・・・私だって、少しは女らしくなったんだからね!」
リィナさんの突っ込みに顔を赤くするライムさん。
僕は面と向かってライムさんには絶対にいえないけれど、
この人は美形ではあるが「女らしさ」はそれほどないと思う。
師匠から手渡された水を飲みながら、
少しずつ僕は落ち着きを取り戻してきた。
「僕らは先に隣の部屋に行ってるけど・・・
マルクも落ち着いたらこっちに来てくれ。話がある。」
パタン、と閉まるドア。僕は急いで服を着替えることにした。
弟子の分際でいつまでも師匠に甘えているわけにはいかないから。
僕が隣の部屋に入ると、いつになく神妙な面持ちの師匠が待っていた。
「マルク、良く聞いてくれ。
僕とライムは明後日から北の国へ行ってくる。
そのための準備に明日は費やしたい。今回はかなり長旅になるから・・・」
そういえば、協会のほうから召集通知が来ていたな。
しかもSクラス任務を示すプラチナカード・・・
師匠は普段はノンビリしているようにみえるけど、やっぱり頼りにされているみたいだ。
「僕らがいなくなる間、マルクの教育係をどうしようか迷っていたところなんだ。」
僕はだまって師匠の話を聞いていた。
すると僕の隣の席に、リィナさんが静かに腰をかけた。
「この人に明日からマルクの教育係を頼むことにしたよ。」
えええっ? リィナさんが僕の教育係・・・ですか??
「教育係といっても、僕と君みたいな師弟関係ではないよ。
二人で協力して色んなミッションをこなして欲しいんだ。
僕らがいない間の細かい任務は、キミに回してもらうように協会のほうには言ってある。」
それって・・・この上ないスパルタ教育では??
とぼけた顔してこの人は鬼だ。師匠、ボクまだハンター見習いなんですけど・・・
そんな僕の不安など無視して言葉を続ける師匠。
「ああ、だいじょうぶ。
任務で死にそうになってもリィナが助けてくれる・・・とおもうから。
それに彼女はキミに足りない部分を沢山持っている。一緒にいて学ぶことは多いはずだよ。」
「ちょちょ、ちょっと待ってくださいよ!師匠!!」
あわてて問い返す僕を、いつものようにノンビリとした雰囲気で眺める師匠。
この人を見ていると、スライムバスターって緊張感から無縁な世界なのかもしれないと錯覚してしまうことがある。
「んん? なんだい、マルク」
僕は少し苛立ちを覚えながらも、ゆっくりと師匠に理詰めで問いかける。
「師匠とライムさんが旅立つのはわかります。
それがお仕事ですから、しょうがないですよね。
その間、僕を指導する立場の人が必要なのもわかります。その気配りにも感謝しています。
でもなぜ・・僕はこの初対面の女の子を師事しなくてはいけないんですか!?」
ウィルは少し考えるように視線を宙に泳がせてから、マルクに向かって答えた。
「ん〜・・・理由は色々あるんだけどさ、なんか不満あるの?」
ウィルにしてみれば、リィナとライムが一緒だとライムの機嫌が悪くなる恐れがある。
(ライムはとてもヤキモチ焼きなのだ)
だからリィナを冒険の旅に連れて行けないというのが本音だ。
しかしそれはマルクに言えない。
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