「あれからもう3年…経つのね」
転職の神殿付近の墓地で一人の女性がつぶやいた。
夏の日差しがその女性の美しい肌を照らしていた。
彼女の名はライムという。
スライム淫界屈指の性技を持つものだけが入隊できるエリート集団「リップス」のナンバー2だった。
少数精鋭のリップスが向かうその先は、人間なら男女問わず性の虜にさせられていた。
ライムは女王の勅命を受けた極淫魔・レベッカを支える副官として人間界に乗り込んできた。
レベッカは「リップス」のトップだ。エリート集団のワンツーを向かわせた先は転職の神殿だった。
淫界としてもスキルを高めた人間たちが次のステップに進むことを阻止する必要があった。
スライムバスターの数が増えることは淫界の勢力後退に直結するからだ。
しかしある一人の男によって転職の神殿陥落の危機は免れた。
それどころかレベッカは消滅、ライム自身も処刑される直前まで追い詰められた。
レベッカを倒した男、スライムバスター・ウィルの申し出によりライムは彼と二人で暮らしている。
人間界のために淫魔と戦うことを条件に命を保障されたのだ。
(実際のところはウィルがライムのことを気に入った部分が大きい。)
とにかくライムは生き続けた。
人間界の暮らしにもだいぶ慣れてきた。
一緒に暮らしているウィルのこともある程度は信用している。
だが一年に一度の墓参りだけは自分ひとりで行動すると決めている。
「……」
うっすらと淫気をにじませた艶やかな髪が風に揺れた。
光の加減によっては真っ赤に燃えているようにも見える。
ライムは厳かな気持ちで目を瞑り少しの時間だけ黙祷をささげる。
しばらくして彼女はゆっくりと立ち上がって墓石に背を向けた。
「よう、姉ちゃん!俺の相手をしてくれよ!!」
レベッカのことを思いながらの帰り道、一人の男性がライムに声をかけてきた。
モシャモシャとした頭髪と野獣のような目つき。
彼の黒いタンクトップから露出している太い腕には竜の刺青が入れてあった。
鍛え上げた肉体はまるで格闘家のようだったが、残念ながら品性は肉体ほど鍛えられてはいないようだ。
「あらそう。でも残念ね。私、あなたには興味ないわ。」
「ウヒャヒャ、見かけによらずキツイ女だ。つれないこと言うなよ。」
男はサマードレスに身を包んだライムを墓地で見かけてから後をつけてきたらしい。
故人を偲ぶために地味な服装にしていたことが災いしたのか、男はライム(の身体)を力ずくでも手に入れたい様子だ。
そっけなく男の誘いをかわそうとするライムに食い下がる男。
本来なら無視しても良いような相手だが今日の彼女はそうしなかった。
自ら声をかけてきた男のほうへと足を運んだ。
「そっか。せっかく来てくれたわけだし少しくらいサービスしてあげないとね?」
「へっへ…そうこなくっちゃ」
ライムは男に向かって何かを投げつけた。
ビチャッ!
ふいに投げつけられたものに不快感を覚えた男はライムをにらみつけた。
「なんだよこれ…ヌルヌルして気色悪いじゃね、ひゃあっ、があああああ!!!!!」
男の首筋辺りに張り付いたそれは粘度を保ったまま彼の下半身へと一直線に向かった。
まるで小さな蛇が草むらをスルスルと這い回るように、ライムからの指示通りに男の急所に取り付くと行動を開始した。
とろりとしたライムの分身である「蛇」は男の亀頭に張り付いたまま微振動を繰り返した。
わけもわからず我慢汁をあふれさせた男に、蛇は次なる行動を取った。
「あひいいぃぃっ!!」
男はあわてて自らの股間を抑えたが後の祭りだった。
蛇はその体調を最大限に引き伸ばして、鈴口をツプツプしながら男の菊をも貫いた。
しかもその途中の棹や睾丸をも見事に絡み付いていた。
ヌルヌルの小さな固体に翻弄された男は歓喜とも恐怖とも取れる声を張り上げながら何度も絶頂させられた。
少し離れた場所でその様子をクールに眺めていたライムがため息をひとつ吐いた。
「この程度で喜ぶくらいなら声なんかかけないでよ!」
男の身体が3回大きく跳ね上がったところでライムは背を向けてもとの道を歩き出した。
数日後、遠くの町の病院で森で倒れていた男が目を覚ますことになる。
衰弱死直前だった男は退院してからも美女を見るたびにあの日のことを思い出した。
ストーキングだけで終わりにしていればこんなことにならなかったのに…と男は深く反省したという。
「今年もウィルと一緒に海に行きたいな。」
先ほど自分に声をかけてきた男のことなど記憶の隅に追いやり、彼女は鼻歌を歌いながらゆっくりと歩いていた。
神殿からウィルの家へと続くこの道は夏になるとさまざまな草花に囲まれる。
赤や黄色の花は南国への思いを募らせ見る者を楽しませる。
強烈な太陽の下に照らされると小さな悩みとかつまらない意地とか、積み重なった日々の不満が消え去っていく。
ライムは夏の太陽が好きだった。
「いいかげんに出てきなさいよ。」
ライムは足を止めてくるりと振り返った。。
神殿からウィルの家へと続く細い道に人影はいない。
しかし彼女は自分を尾行している気配を敏感に感じ取っていた。
「…気づかれていたか。」
しばらくの沈黙の後、生い茂る樹木の影から追跡者は姿を現した。
ほっそりとした二つの影は一目で女性だとわかる。
二人とも真っ黒なボディスーツの上にカモフラージュのために迷彩柄の服を着ている。
片方は金色のロングヘアを後ろで束ねており、もう一人はワイン色の髪を耳より少し長い程度で切りそろえていた。
二人とも美形ではあったがライムを見つめる視線は冷たく、口元は硬く結ばれている。
その二人を見たライムの顔が一瞬固まった。
「私を始末しに来たのね?」
ライムの言葉を聴いて、追跡者たちは静かにうなづいた。
追跡者のひとり、金髪の美女が口を開いた。
「はじめまして、私はレベッカ様の従者、シャル。ライム様のことは我が主より常々聞かされておりました。」
言葉のひとつひとつは丁寧でも、全身からあふれ出る敵意は隠せないようだ。
続いてもう一人の追跡者も名乗りを上げた。
「同じくピノでございます。こんな形での対面となり残念至極にございます。」
「今回のことは女王様からの命令なのね?」
ライムからの問いかけに二人は首を横に振る。
「いいえ。私たちの独断でございます。」
「ライム様、なぜあなただけ生き延びているのです?」
シャルとピノの独断という部分での驚きはあったが、ライムは全てを悟った。
主君であるレベッカを失った彼女らにとって、スライムバスター・ウィルは主の仇敵。
そのウィルとライムが一緒にいるということは淫界に対する裏切りだ。
しかもレベッカが最後に受けた勅命には彼女たちの同行は認められなかったのだ。
自分たちの代わりに同行を許されたライムが討ち死にしているならまだしも、
今ものうのうと生き延びていることを知った彼女たちの怒りと屈辱は想像に難くない。
「……」
ライムはあえて口を開かなかった。
二人に何を言っても無駄だと判断したからだ。
レベッカの墓参の帰りということもあり、どこか感傷的になっていたのかもしれない。
彼女たちのやり場のない怒りを正面から受けることがせめてもの罪滅ぼしのような気がした。
「黙秘ですか。もはや問答無用ですね。」
ピノの言葉が終わるのと同時にシャルは着ている服を脱ぎだした。
すでに彼女の体からはうっすらと淫気が湧き出ている。
臨戦態勢といったところか。
「裏切り者にふさわしい死を与えてあげる!」
シャルとピノは淫らな笑みを浮かべてライムに近づいていった。
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