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彼女の最後の責めが僕のガマンを全て舐めとろうとしたそのときだった。

(絶対負けないぞ!!!)

圧倒的な性技を持つミリアから目をそらさずに僕は念じた。
それはとても勇気が必要なことだった。
しかし彼女から視線をそらしたら、その瞬間に心が折れてしまいそうな気がした。





(いい目をしている・・・本当に)

僕の表情をじっとみつめていたミリアの口元が緩んだ。


「あら、残念だわ・・・あなたの勝ちよ、ウィル」

ミリアに促されて時計を見る。

時計の針は、すでにバトルがスタートしてから10分22秒を経過していた。


ミリアの指が僕を解放する。僕はギリギリ耐え切ることができたんだ!



「・・・あなたの勝ちね。あんなにガマンした人間は初めてだわ。」

勝負が終わって、彼女が僕に語りかけてきた。


「ぼくだって初めてだったさ・・・あんな指責めは。」

 


正直なところ僕が勝ったという印象はない。

でも、彼女の責めを耐え切ったことでタフネスが格段に上がった気はする。

ひょっとしたら彼女は最初からぼくを勝たせる気だったのかもしれないな。

 

「さすが、ルルが認めただけのことはあるわ。あなたになら、私の・・・残り少ない命と力を預けてもいいわ。」

 
彼女がそういい終わると何かがコロン、と転がり落ちた。


魔方陣の下で、小さく光を反射するそれは金の指輪だった。


「それをお持ちなさい。あなたにとって、きっと役に立つものよ。

 そしてできることなら・・・スライムと人間が争わないように戦いつづけてほしいの。」


僕は金色に光る指輪を拾い上げた。

金属としての硬さだけでなく、なんとなくやわらかい手触りがする。


それは自ら光を発しているようにも見える。



「勝手なお願いばかりしてごめんなさい・・・私の娘、ルルが認めたあなたと最後に戦うことができて良かった・・・」


その言葉を最後に、彼女の姿は霧がかかったように薄くなっていった。

やっぱり彼女がルルの母親だったようだ。

ルルとの約束は守れなかった。

そして僕はルルのお母さんにスライムと人間の橋渡し役になれ、と言われた。

はたしてそんなことができるのだろうか?

金の指輪を皮袋に入れて、ぼくは村を後にした。


その夜遅くに僕は家に着いた。


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