僕の名はウィル。ゆくゆくは特級ハンターを目指している。
ハンター養成学校は無事に卒業したけれど、今の職業は「スライム狩人」。最近になって、どうにかスライムに勝てるようになってきた。
今、「なんだコイツ、たいしたことないじゃん」って思ったキミへ。
確かに僕はたいしたことないかもしれない。
この世界には勇者やハンターを目指しているのは僕だけじゃないし、同い年でも僕よりレベルが上のやつはいっぱいいる。
でも、スライムといっても……この世界のスライムはそんなに弱くないんだよ。
大昔のスライムは、棍棒とか竹竿で叩けば簡単につぶれて消えてくれた「雑魚モンスター」だったらしいけど、今はぜんぜん違う。
5年位前のことだけど、やつらが淫魔と融合してしまってからはモンスター図鑑でいうところの特殊系Aクラス……なんと「中ボス」程度のモンスターに格上げされてしまったんだ。
淫魔の厄介なところである「物理攻撃無効化」の特性をもつこの世界のスライムには、通常攻撃が効かない。
その上、魔法を唱えて炎や雷を出しても蒸発してくれない。
魔力に対しても、かなりの防御耐性があることがわかっている。
そして一番の問題点は……見た目は微妙に透き通って見えるけど、基本的には超美形の女性なんだ。
いかにもモンスター的なブサイクな容姿だったら、遠慮なく斬りつけられるのにね。
そんなわけで、スライムは淫魔のせいで見た目も中身もパワーアップしているんだ。
近年、冒険中に「透き通るような肌の美女」に出会って危険を感じない勇者はいない。
そして何よりもやってはいけないことがある。
けっして、スライムを叩いちゃいけない。
剣で斬りつけてもいけない。
つまり、分裂させるきっかけを与えちゃいけない。
もし君が腕に覚えのある人でも……試しにやってみるまでもない。
普通の勇者じゃ手に負えないはずだよ。
やつらに腕力はそんなにない。
でも5匹くらいスライムが擦り寄ってきたら、男女を問わずパーティー全滅の可能性だってある。
スライムの性感攻撃は超強力だから。
やつらを消すには、あくまでもセックスに持ち込んで気持ちよくさせなくてはならない。
スライムの精神に快楽の「熱」を与えないと倒すことは出来ない。
一体ずつ確実に仕留めることが基本だ。
また、スライム族の中には特殊能力を持つものが多い。
例えばこちらの思考を読み取ることができるやつもいるらしい……。
幸い、僕はまだ出会ったことはないけどね。
うまいことやつらに勝利することができれば、ドラゴンを10匹倒したくらいの経験値がもらえる。
そうなればレベルアップもどんどんできるんだろうな。
そんなわけで、僕はスライム討伐に特化したハンター「スライムバスター」になるために修行中だ。
一人前になれば有名な勇者のパーティーにも入れてもらえるかもしれない。
そして難攻不落の沼地・洞窟攻略などのイベントで名声を得られることだってある。
とりあえずもうすぐレベルアップできそうだ。
だから今週は2匹のスライムを倒すことを自分へのノルマにした。
そんな僕にこれから話すようなことが起こるなんて……。
僕は山沿いの森の中を歩いていた。
この近くの村でスライムの集団が出たという噂があったからだ。
スライムバスターになるためには、実戦あるのみ。
僕もまだまだ修行中の身だから、スライム討伐のチャンスがあればこちらから出向いていくことにしてる。
しかし今日は蒸し暑いな……
これでは村に向かう途中で汗だくになってしまう。
暑さに文句を言いながら歩いていると、道端で女の子が花を摘んでいるのが見えた。
……。
明らかにあやしい……
こういう場合はかなりの確率で何らかのトラップだったり、よくわからないイベントだったりする。
今日はこのまま素通りしてしまおう。
僕は少女の脇を警戒しながら歩くことにした。
近づいてみてわかったことだが、少女の年齢はだいたい15歳くらいで肩くらいの長さの黒髪をひとつに結んでいた。
肌の色はとても健康的に見える。
遠目にはミニスカートに見えたが、オレンジのショートパンツと黒いシャツを着ていた。
赤茶の短いブーツに靴下といった服装だ。
そのせいか、とっても足が長く見える。
花を摘んでいるように見えた少女は小さく肩を震わせていた。
どうしたの?と、つい声をかけてしまう僕。
やさしさだけはすでにレベル80に到達している。
少女の大きな黒い瞳には、すでに涙があふれている。
「うぅぅ……あのね、お母さんがスライム達に連れていかれちゃったのよぉ・・うわぁぁぁぁん」
少女はそういうと、大声でわんわん泣き出してしまった。
かわいそうに……母親が連れ去られていくのを黙ってみているしかなかったんだな。
僕は優しく少女の肩を抱きしめる。
「落ち着いて……お母さんを連れ去ったのはスライムはどっちのほうにいったの?」
「あっちのほうよぉ……」
少女は泣きながら、僕が向かう先を指差していた。
やはりあの村か!これは急がなきゃまずいことになる。
「わかった、じゃあ一緒にいこう!お母さんを助けなきゃ。さぁ、立ち上がって」
少しひんやりした褐色の肌、この子はおそらく淫魔ではないだろう……
油断した僕が差し伸べた手を少女がつかんだ瞬間のことだった。
「お兄ちゃん、とってもいい人だねっ」
少女が無邪気に微笑んだ。
つづく
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