「はぁ…」
今年で社会人二年生だというのに、会社に向かう途中で思わずため息を吐いてしまった僕。
もう六月だというのに季節外れの五月病まっさかりだ。
毎朝起きるのがつらい。
仕事以前に気力が半減してしまう毎日。
もともと学生のころから早起きは得意じゃなかったけど、
会社に入ってからの一年は緊張感のせいか、そんなに起きるのは苦労しなかった。
しかし最近は…とにかくキツい。
サボりたい。でもサボれない。
全国のお父さんたちは毎日こんな思いをしていたんだね。
そんな僕の背後に近づく軽やかなヒールの音。
「伊藤君、おはようございます」
「あ…ども」
フラフラとよろめく僕の脇を、一人の女性が颯爽と駆け抜けていった。
いや、実際は早足で歩いていただけなんだろうけど…
駆け抜けたように見えたのは僕があまりにもノロノロ歩きをしていたからだと思う。
朝の日差しを浴びてわずかに栗色に輝く黒髪。
透き通るような白い肌をほんのりとピンク色に染める薄化粧。
紺色のタイトスカートからはすらりと伸びた脚が覗いている。
彼女の名前は美咲優子。スタイル抜群の同期の女性だ。
昨年入社して、研修直後から秘書課に配属。
先輩女子社員からのいじめにあうこともなく同期の女子社員の中ではピカイチの評判。
もって生まれた美貌だけでなく仕事もてきぱきとこなす彼女は今では受付嬢として
対外的にも受けがよく、取引先にもファンがたくさんいるらしい。
会社の顔としても有名な美人だ。
かくいう僕もひそかに思いを寄せている一人ではあるが、まあ到底叶わぬ思いだろう。
僕の部署(営業部)は何かと彼女が所属する部署と衝突している。
少なくとも良い印象はないはずだ。
「あんな人と一度でいいから…してみたいな」
まるでモテない男の独り言…そんな自分に苦笑い。
とても同い年とは思えない理知的な彼女と、あんな場所で出くわすなんて夢にも思っていなかった……。
それからしばらくしたある日の夜、僕は会社の資料室に閉じこもっていた。
先輩から依頼されたデータ収集が思いのほか難航して、結局今日もサービス残業……
「はぁ~……きついわ、こりゃ」
先日の朝よりも重いため息。今日も終電なのかなぁ。
カチャッ
「ん?」
確かに今…ドアの開いた音がした。反対側の入り口だ。
この部屋はたくさんの資料が収められているので会社の中でも割と広い。
出入り口も3つある。
普段なら人も多く小さな物音など気にならないのだが、今は夜更けだ。
(誰だろう…?)
僕は資料室の奥のほうにいたので、誰が入ってきたのかは見えない。
なんとなく息を潜めて様子を伺うと、なんと秘書課の美咲さんが男性と一緒に!!
(これはまさか…社内恋愛!? うわぁ…やばいところに居合わせちゃったな)
戸惑う僕をよそに、入り口のほうから衣服を脱ぎ去る音が聞こえた。
さらにつづく粘着質の音…
ピチャッ、ぷちゅっ…
「あっ、あんっ!!」
「ゆ、優子さん…」
ますますエスカレートする二人を僕は遠めで見ていた。
とにかくここから逃げ出したい…そんな思いが膨らんでいく。
(あわわわ……でも待てよ…?)
冷静に考えれば、同期の高嶺の花である美咲さんの裸が見えるかもしれないんだ。
僕のスケベ心がむくむくとわきあがり、逃げ出したい気持ちを押さえ込んだ。
書棚につかまりながら少し背伸びをしてみる。
美咲さんが男に覆いかぶさっているのがみえた!
小さな手のひらが男の顔を挟み込んで固定しているところに情熱的なキスの嵐…
相手の男は美咲さんのなすがままに唇をむさぼられている。
(うわあぁ…)
彼女にあんなキスをされたらたいていの男はメロメロだ・・・
その光景を見ているだけで僕のペニスはカチカチになってしまった。
(も、もう少し…近くに)
そーっと近づきながら背伸びをする。
彼女の白い太ももがはっきり見えたところで、不覚にも僕はテーブルの角に腰をぶつけてしまった!
ガタッという物音に反応して美咲さんが振り返る。
「誰っ!?」
しかし彼女が僕の姿を捉えることはなかった。
僕は信じられない反射神経で身を潜め、出口から逃げ去ったのだから。
つぎへ
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