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髪の匂い





「…本当にしょうがない人ね。」

聞き覚えのある女性の声で僕は目覚めた。

なぜか周囲は真っ暗で身動き一つ出来ずに横たわっていた。

手足が縛られて、大の字になっているようだ。

でも何故? それが思い出せない。


まだ頭の中がガンガンする・・・

そうだ、僕は昨日ガールフレンドの沙織とお酒を飲んでいたんだ。

それから・・・

その先が思い出せない。

酔いつぶれてしまったのだろうか?


ふいに周囲がぼんやりと明るくなる。

赤っぽい柔らかな光に照らされて、いくつかわかったことがある。

まずここはラブホの部屋であること。

僕がベッドの上に横になっていること。

手足はベッドの四隅に縛られ、固定されていること。

そして…沙織が黒い光沢を放つ下着姿で僕を見下ろしていること。





沙織とは高校からの付き合いだ。

彼女はスポーツ万能少女で、中学のころから続けているバスケットボールでは県の最優秀選手に選ばれたこともあったくらいだ。

身長は160cm台後半で、髪が顔にかかるのが嫌ということでいつもポニーテールにしている。

彼女の手足はスラリと長く健康的な美しさがある。

顔も小さめなので7頭身に近い6頭身だ。

バストはそれほど大きくないけど、逆にそれが彼女の美しさに磨きをかけている。

特にその黒髪は彼女の自慢だった。


見た目がパッとしない僕にはもったいないくらいきれいな彼女だ。

基本的には活発な彼女だが、僕の前ではおとなしかった沙織…

その彼女が見たことも無いような刺激的な衣装で僕の前に立っている。


「沙織、これはどういうことだ? なぜ僕は縛られてるんだ!?」

ギシギシとベッドを揺らし、僕は沙織に抗議する。

それに対して冷ややかな視線の沙織。


「どうもこうも、あなたお酒を飲んだときに言ってたわよね? 浮気してたこと…」

沙織は僕の脇に腰を下ろした。

そしてわき腹に指を這わせる。

ツツツーっと腰から脇の下にかけて撫で上げる。


「くぅっ! やめろ・・・僕がそんなこと言うわけないだろ!」

これは彼女ハッタリだ。

たしかに一度や二度の浮気はあるかもしれないけど、絶対そんなことを口走るわけが無い。

苦しい言い訳をする僕に、ますます厳しくなる沙織の目。


「そういう態度取るんだ? あなた昨日、『陽子と何回もSEXした』って、得意げに自慢してたじゃない??」

たしかにずいぶん前に何度かしたことはあるのだけれど、ここは突っ張るしかない。


「何言ってるんだ。陽子とはそんなにはやってな…あっ」

返答をしくじってしまった僕を見て、ニヤリとする沙織。


「やっぱりね…最近おかしいと思ってたのよ。」

彼女は動けない僕にまたがり、ポニーテールを解いた。

そして、軽く頭を振ると周囲にフワリと彼女の香りが漂う。


「うふっ、いい匂いでしょ? あなたの好きな匂いよ。」


確かに僕は彼女の髪の匂いが好きだ。

彼女の体臭と、使っているシャンプーの組み合わせが好きだ。

でもそれを彼女に伝えたことは無いと思うのだが…

僕を無視して沙織は続けた。


「これからあなたは私に何回もドピュドピュさせられちゃうの。」

彼女の長い黒髪が、僕の胸の上でゆらゆら揺れている。

まるで意思を持っているかのように、僕の左胸の辺りでうごめいている。

軽いくすぐったさを感じながらも、彼女の髪を見つめる僕。


「その時に、この匂いと快感を一緒にあなたの心に植えつけてあげる。」

「なぜそんなことを・・・・・・?」

「私以外の女ではイけない体にしてあげるのよ。もう二度と私には逆らえないように調教してあげるの。」

そう言いながら、すでに恥ずかしいほどに勃起した僕のペニスをなでて彼女が耳元でささやく。

「でも、これは罰よ。楽にはイかせてあげない。」

エナメルのブーツを脱いだ沙織は、その長い脚を僕の腰に絡めてスリスリと刺激する。

だが、ペニスには一切触れないような体勢をとっている。


「ねえ、どうされたい?」

「・・・」

僕は沙織の言いなりにはなりたくないと、無言の抵抗をしていた。

動けない僕の体に、自分の体を巻きつけるように沙織は僕に密着している。


「ふふっ、じれったいの? 腰の辺りが動いてるよ。」

「くっ・・・!」

巧みな言葉責めに不覚にもペニスは反応してしまう。

沙織は軽く微笑むと、僕の耳元に口を寄せてささやいてきた。


「ねえ、ちゃんと聞・い・て・る・の?」

突然、黒髪の先端を僕の左の耳穴にねじ込んできた!

沙織の髪の毛が僕の耳を内側から愛撫する。


「ひゃあっ!!」

「あらあら、情けない声出しちゃって。」

彼女の美しい髪のうち何本かが、耳の最奥まで到達する。

まるで脳みそまで届いたかのようなくすぐったい。

こらえきれない刺激に耐えられず声を上げてしまった。


「あなた、ずっと髪の毛で犯されたかったんでしょ?」

突然沙織が僕に問いただしてきた。

「え・・・?」

「私のこの髪で、ずっと体中を包まれたかったのよね? 知ってたんだから。」

密やかな願望を彼女に見透かされていたのがショックで、僕は声も出ない。


「ふふっ、想像してみて。」

沙織が軽くキスをしてきた。

「あなたの体中に私のこの黒髪をなぞらせるの。あなたはきっと我慢できないわ。」

僕はもうそれだけで頭の中が・・・・・・

「あなたの感じるところを全部私が探し出してあげる。そして、フィニッシュはあなたのペニスを私の髪で包んであげるの。」

頭の中がボンヤリしてくる。

恍惚とした表情のまま僕は沙織に見とれていた・・・


「包み込まれたあなたは、刺激を求めて腰を動かす。でも、決定的な刺激は与えない。」


「なっ・・・」

沙織の寸止め宣言に、思わずおびえてしまう僕。

彼女にこんなサディスティックな面があったなんて、今まで気づかなかった。


「そ、そんな・・・ひどいよ。」

「ふふっ、もちろんちゃんとイカせてあげるよ。私だけしか見られない体にしたあとでね♪」

そしてもう一度、今度はディープキス・・・

沙織の舌先が僕をくすぐってくる。


「そのためには徹底的にあなたの体を開発してあげなきゃいけないの。髪の毛責めでしか感じられない体にね。朝になるころには、もう立派に変態さんね!」

僕はヘンタイじゃない!!

沙織のキスのせいでとろけそうな意識を振り払って、僕は首を横に振った。


「素直じゃない彼氏を持つと苦労するわ・・・とりあえずこのあたりから責めてみようかしら?」

沙織は右手で前髪を掻き揚げると、僕の左乳首をペロリと舐め上げた。

それと同時に乳首への愛撫も忘れていない。

そして彼女は上目遣いで微笑みながら僕の反応をうかがっている。

時々軽く歯を立てて乳首を刺激すると同時に、空いている左手で黒髪を束ねて筆のように使い、右の乳首の上をサラサラを優しくなぞってくる。


ペロペロ・・・

シュルシュル、シュッ、シュッ・・・

カリカリ・・・

ちゅうう~~~


「んあぁっ!」 

執拗な愛撫に思わず情けない声を出してしまう僕。

ベッド上に大の字に固定されて動けない僕は、彼女の髪と口がつむぎだす刺激に耐えられない!


「くすぐったいのと、少しの痛みを同時に体験しているのよ? どうなっちゃうのかしらね。ふふっ・・・」

沙織は左の乳首に飽きると、今度は脇の下を舐め始めた。

時折カプカプと優しく甘噛みしてくる。

彼女の髪の毛は僕のおへその辺りをクリクリとほじるように愛撫していた。

沙織が言うように、くすぐったい刺激と軽い痛みが交差する愛撫は、だんだん僕を夢中にさせていた。

それを何回か繰り返されていると、僕のペニスはすっかりガマン汁でびしょ濡れになってしまった。

それをみた沙織が意地悪な微笑を浮かべて、ぼくを嘲笑う。


「あらあら、恥ずかしいわね。まだ私に直接触れられてもいないのにお漏らししちゃったわ。」

沙織の言うとおり、僕のペニスはすでに髪の毛責めに対して悲鳴をあげ始めていた。

彼女の言葉に何も言い返せない僕は、ただ顔を赤くして屈辱に耐えるしかない。

歯を食いしばる僕を見ながら、沙織は屈辱と快感を交互に刷り込んでくる・・・



「ねえ? 本当はもうイキたくてしょうがないんでしょ? 私にイカされたいんでしょう?」

「そ、そんなこと・・・なぃ・・・」

首を横に振る僕に、沙織は子供に諭すように優しい口調で僕に語りかけてくる。


「ううん、そんなことあるの。あなたはもう私の黒髪の魅力に負けちゃうの。」

ここは絶対に負けたくない!・・・僕は歯を食いしばってその誘惑に耐え続けた。


「だいたい、この気持ち良さにいつまでも逆らえると思うの? ねえ、『僕をイカせてください』って言っちゃいなよ。」

そんなことを口にしたら、今後沙織に対して頭が上がらなくなる気がする。



「まあいいわ。でも、私の髪の毛の前ではあなたの我慢なんて本当に無力ね。それにまだダメよ。イカせてあげないんだから。」





先ほどから沙織は上機嫌だ。

「実は私、前からこういう風に男の人を調教してみたかったの。だからまずはあなたを私の髪で虜にしてあげる。」

彼女は今まで隠していたサディスティックな部分を、一気に僕にこすりつけてくる。

これから何をされるのか不安と期待が入り混じった表情の僕を見つめる沙織。


「でも手加減できないから、快感であなたが壊れちゃうかもしれないわ。」

恐ろしいことを平然と口走る彼女。

そういえば以前、彼女自慢の黒髪を、僕が誉めたことがあった。彼女はとても喜んでいた。

その時は今みたいに性的な欲求はなかったのに・・・今は彼女の黒髪が凶器に見える。

まるで僕の心を彼女に縛り付けるための鎖のように。


「ねえ、次はどうされたいの?」

「そんなこと・・・言えるわけないじゃないか。」

「その答えを待ってたのよ。」

僕のささやかな抵抗を受けて、沙織がニヤリと微笑む。

僕に覆いかぶさったまま、頭の上から何かを手に取った。

「じゃあ、好きにさせてもらうわ。」



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