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「……というわけなんだよ」

とりあえず妹に相談することにした。
こいつの言ってることはけっこう当たっているんだと再確認した。

「よかったじゃん、これで遠慮なく夏蜜さんに振られてきてください」

縁起悪いこというんじゃねえええ!!

確かに今の状態なら、俺が夏蜜さんに振られても花鈴ちゃんが待ち構えているわけだが。
花鈴ちゃんは夏蜜さんの代わりじゃない。あっちだってきっとそんなの全然うれしくない。

「おまえな……」

「じゃあかりんにすれば?」

またこいつ俺の心を先読みしやがった…

「あの子、いい子だよ〜〜かわいいし、面倒見はいいし、勉強できるし」

確かにその点は同意する。
可愛くておとなしいところなど、お前に爪の垢を煎じて飲ませてやりたいくらいだ。


「いっとくけどね! クラスだけじゃなくて学年全部で人気あるんだよ、あの子!」

やはりそうか。
そういえばうちのクラスの誰かがテニス部の後輩が可愛いって言ってたけど…
あれは花鈴ちゃんのことなのかもしれない。


「何気に超人気者よ? かりん」

「たしかにそうだな……」

「だからアンタみたいな人を気に入るはずないんだけどなぁ」

なんでこいつは……一言多いのはうちの家系だろうか?
柚子は親父によく似ている。俺は親父に口では勝てない。


「あっ、あたしのお兄様ということで気を使ってるのか! それなら納得。よくわかる」

わからねーよ! それに納得すんな!

「とにかくあたしもオススメする!」

ビシッと俺に向かって指をさす柚子。
こいつの言うとおり、たしかに可愛いんだよなぁ…花鈴ちゃん。


「どっちでもいいじゃん兄貴、もう決めちゃいなよ」

まるでマクドナルドでセットの飲み物を選ぶ時のような言い草にカチンとくる。

「俺の青春がかかってるんですけどー」

「じゃあさっ、次の土曜日にどっちかに告白しようよ!」

次の土曜日って明日じゃん!!
お前は何でそんなに……うわ、目がキラキラしてる

「かりん好きだょ…センパイ、私も好きです…なんちって!」

しかも乙女モードだ。
このうっとり顔はなんとなくムカツク。
ホントにうざいやつ…

ガシッ!

「兄貴、やっと春がきたねっ!」

思いっきり俺の手を握る柚子。
まったくもって大きなお世話だ、バカヤロー!

自分の中での結論が出たのでスッキリした表情をしてやがる。

「じゃああたしねるっ オヤスミ」

「きょうはちゃんと自分の部屋で寝ろよ〜〜」


妹はドタドタと階段を駆け上がって寝室へと向かっていった。

やはり最後は自分で決めなきゃならないのか。













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