ここはひとつ貝になろう。
俺は何を聞かれてもこの件に関しては口を開かないことにした!
「あっそ! あたしにそういう態度とるワケ?」
つーん…
なにも聞こえないもんね。
「ホントに可愛くないなぁー!!」
ぷいっと横を向いた俺を見て、柚子がキレた!!
ずんずんと部屋の出入り口に向かって歩いていく。
そして…
バーン!
「ママー! 兄貴が私のことをレイぽぅ…んんー!!」
このヤロ…強硬手段をとってきやがった。
家の外まで聞こえる声で柚子が絶叫し始めた。
「どうしたの柚子? あら…?」
驚いたおふくろが階段を上がってきた。
俺が妹を羽交い絞めにしている姿を見て少し首をかしげていたが…
「な、なんでもないよ! こいつがわがまま言うから冷蔵庫にブチこんでやろうとしだけで…」
「それはかわいそうだわ」
「いや、こいつには生ぬるいと思うよ」
俺の腕の中でジタバタする妹。
まるで捕まえられたニワトリみたいだ。
(はーなーせー!)
しばらく俺と柚子の様子を見つめていたおふくろだったが、
「とにかく静かになさい」
「う、うんっ!」
くるっと背を向けて部屋を出て行った。
バタンとドアが閉じたと同時に深い疲労感が俺に襲い掛かる。
「ふぅ…」
「わかったかぃ? 兄貴」
小悪魔がニヤニヤと俺のほうを見て笑ってる。
この時になって俺は初めて妹が自分の部屋にいる危険性について思い知った。
柚子が泣きながら部屋の外に出て行こうものなら、シスコンの変態兄貴と呼ばれてしまう。
「ゆず、てめぇ…」
「アンタがどーなるかは、あたし次第なんだよ? 可愛い妹をもっと大切にしてネ? おにいさま♪」
性格悪すぎるぞ!
いつか呪ってやるからな!!
だが逆らってみても仕方ないので、俺は思い切って全てを話すことにした。
昼間のことを話す
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