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「……で、なにがあったの?」

「えっと」

タカヒロの母親は面白そうに奈緒を見つめている。
興奮気味の奈緒の目の前に、
彼女の好きそうなクッキーとジュースを置いてやる。

出されたお菓子に遠慮なく手を伸ばしながら
奈緒はついさっき起こったことをタカヒロの母に全て話した。

きれいな女性と一緒に歩いていたこと、
自分の知らないおしゃれな店にいたこと、そのほか感じたこと…

「そう、それはちょっと悔しかったわね? 奈緒ちゃん」

「うっ……」

揺れる乙女心に、ニコニコしながら鋭く突っ込むタカヒロ母。
奈緒のほうも一通り誰かに話したことで、少し落ち着きを取り戻していた。

「で、でも! どんな理由があっても許せない!」

「そうねぇ。許せないわよね。だからこそタカヒロに詳しく話を聞いてみないといけないんじゃない?」

「はい……」

タカヒロの母親も奈緒のことはよく知っている。
隣同士ということもあって、奈緒の母親とは仲良しだ。
負けず嫌いでヤキモチ焼きのところなどとてもよく似ていると思う。

出されたジュースに少し口をつけてから、チラリと上目遣いで奈緒が尋ねてきた。

「最近のタカヒロって、なんか変わったことありました?」

「そうね。今朝なんか『毎日忙しくて奈緒ちゃんに申し訳ない』って言ってたわよ」

「うそだぁ〜〜」

奈緒は少し照れたような顔をしながら、クスっと笑った。

「やっと笑ってくれたね、奈緒ちゃん」

「えっ……あ、あははっ」

「やっぱりあなたは笑顔のほうが可愛いわ」

「……」

ほっとしたような顔をするタカヒロ母をみて、奈緒は急に自分が恥かしくなった。
それと同時にタカヒロに対する怒りを八つ当たりしてしまったことを申し訳なく感じていた。

「それとね、さっきの嘘じゃないわよ。顔を見れば大体わかるの」

そんな思いを察したのか、タカヒロの母親は少しおどけたように奈緒に語りかけた。

「親子だから?」

「それもあるけど、あの子の悩みって大体はあなたのことみたいよ?」

「ええ〜〜〜! それってどういう意味……」

「そこまではわからないわ」

うれしさ半分、そして微妙に困り顔をする奈緒。
まるで自分の娘に接するようにタカヒロの母親は奈緒をやさしく見つめていた。

「でもね、奈緒ちゃん……とりあえず、あの子を信じてあげて?」

さっきより少し真面目な口調で語りかけるタカヒロ母。
奈緒もその微妙な変化に気付いたのか、神妙な表情になった。

「あたし、信じてます!」

「それなら安心ね」

「はい」

自分をじっと見つめるタカヒロの母の視線をまっすぐに受けて、奈緒は小さく頷いた。



それから少しして、奈緒はタカヒロの家の玄関を出た。

「奈緒?」

「あっ、タカヒロ!」

ちょうど帰ってきたタカヒロが不思議そうな顔をしている。
奈緒はさっきタカヒロの母に言われた言葉を思い出してみた。


―― あの子を信じてあげて ――


もちろん信じてる。
タカヒロが自分以外の女性と一緒になるなんて考えられない!

でも現実的にショッピングモールの中で見かけた光景が目に焼きついて離れない。

「ずいぶん遅いお帰りね」

「あ、ああっ……仕事が少し長引いちゃってな」

奈緒を心配させないためのタカヒロの嘘。
それもわかってる。
でも、素直に言ってくれればいいのに!
信じたい気持ちもいっぱいあるけど、それよりも本当のことを聞きたい。
彼女の心の中がヤキモチでいっぱいになりかけていた。

「ふんっ!」

「な、なんだよ! 仕方ないだろ俺だって……」

「だって、あたし見ちゃったもん!」

「!!」

タカヒロはその一言で凍りついた。
もちろん心当たりはあるが、まさか奈緒が見ているはずはない……のだが……

「な、なにを?」

「タカヒロ、女の人と買い物してた!」

とうとう口から出てしまった言葉。
もう後には戻れない。
奈緒は大きな瞳でタカヒロの目をジーっと見つめた!

「あれは、会社の先輩だよ。プレゼント選びに付き合ってもらったんだ」

多分タカヒロは嘘をついていない。
奈緒だってそれくらいは感じ取れる。
それでもやっぱり悔しい気持ちで今は胸がいっぱいだった。

「でも……でも、あの人すごくきれいだった」

「ブサイクだったら良かったのか?」

「そういうこといってるんじゃなーい!! むぎゅ……」

突然、奈緒の視界が真っ暗になった。
タカヒロが急に彼女を引き寄せて、抱きしめたのだ。

「俺のいうことが信じられないか?」

「ず、ずるいぞぉ…タカヒロォ…」

「返事は?」

「ウン……」

とりあえず彼女は全てを信じることにした。
さっきまで一人でキレていた自分を思い出すと、なんだか情けなくて涙がにじんできた。

「泣くなよ、奈緒。ほら」

タカヒロが小さな袋を奈緒に手渡した。

「それがさっきの女の人が選んでくれたプレゼント?」

「ちがうよ、これは俺が選んだんだ。」

「またウソ……」

「だから嘘じゃねえってば。先輩はこれじゃないほうを選んだ。でも俺はこっちのほうが奈緒に似合うと思ったんだ」

渡された袋の中には、青い髪飾りが大事そうに包まれていた。
月明かりを弾いて淡く輝いている。

「きれい……」

奈緒の口から漏れた一言に、タカヒロもほっと一息ついた。


「ずいぶん寒いと思ったら、見てみろよ」

「?」

タカヒロが空を見ている。

それにつられて奈緒も夜空を見上げた。

青い髪飾りの上に、ひらりと粉雪が舞い降りた。


「わぁ……」

さっきまで涙すら浮かべていた奈緒の表情がパッと明るくなった。
街灯に照らされた雪が淡い光を放ちながらゆっくりと舞い落ちる。
その光景はまさにクリスマスのイメージそのものだった。

「ねえ、タカヒロ」

「うん?」

「こういうときは、何かロマンチックなこと言わないとダメなんだよ?」

降り出した雪から身を隠すように、タカヒロにぴったりと寄り添う奈緒。
奈緒の頭についた綿雪を指先で払いながら、タカヒロは内心困り果てていた。

(急にそんなことを言われても……)

普通の男性なら気の利いたことでもいえるかもしれないが、
彼は元々そういうタイプじゃない。

「じゃあ、奈緒」

「はい」

「あのな……」

「ウン……」

「……」

タカヒロが石造のように固まってしまった!
この雰囲気は彼にとって辛すぎた。

「もうっ、タカヒロ! しょうがないなぁ〜」

「す、すまん」

「でも、そういうところ奈緒は大好きだよっ!!」

無邪気に喜ぶ奈緒の姿を見て、タカヒロの肩から緊張感が抜けた。
無理にムードを作るよりも、自分の考えてることだけを言うことにした。

「俺もお前のこと、好きだ」

「えっ!」

「おかしいか?」

「そんなことないけどっ!」

今度は奈緒が真っ赤になる番だった。

「顔がトマトみたいですけど?」

「タカヒロ、今までそんなこと言わなかったジャン!」

「こんなこといつも言えるわけないだろ」

「でもずるいよ、奈緒の気が緩んでるところで……」

しどろもどろになっている奈緒の頭を、タカヒロは優しくポンポンと撫でた。

「来年も、その次のクリスマスも一緒にいような」

「ウン……」

仲直りした二人を包むように雪が降り積もる。
明日の朝にはきっと雪だるまが作れるくらいになっているだろう。

しばらく雪のクリスマスを楽しんだ後、タカヒロは奈緒に向かって囁いた。

(さて、お仕置きタイムかな?)

「なっ、なんでそうなるのよ!タカヒロ!!」

二人の夜はまだ始まったばかりだった。




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