韓信とよう子

 

梨香がよう子に叫ぶ

「とうとう私とあんただけになったよ!」

よう子が答える

「そうね…」

梨香「よう子、私と組まないか?この樹海の中に私とあんたで、強力な軍隊を作ろうよ」

よう子「お断りよ。」

梨香「何故だ?」

よう子「あんた、レズだから」

梨香「フッ。駄目か…そろそろ決着をつけよう」

よう子「そうしましょう」

梨香は、よう子の攻撃に備え、銃を構えた。右の茂みがカサッと僅かに揺れた。

「そこか!」梨香が銃を撃つ。ズキューーン。

涼風が、白い翼を血に染めて飛び出して来た。

「ザンネーン、ハズレー」涼風は飛び去った。

梨香は「ファ×ク」と言って、涼風を見上げた。

反対側の茂みからよう子が刀を抜いて斬りかかって来た。

梨香の小銃が一瞬早く火を吹いた。よう子は肩を撃たれ、がくっと膝をついた。

梨香は「残念、もうちょっとだったのにね」と言いながら、よう子に狙いを定めた。

その時、「やめなさい!」と木の上から女の声がした。

梨香「誰だ!」

黒いコートの女が木の上から飛び降りながら、短刀を投げる。

梨香は小銃を撃とうとするが、上から降りてくる者を狙撃するという困難な状況が、一瞬、反応を遅らせた。

短刀が梨香の腕に刺さり、小銃を落とした。女が刀を抜いて、梨香に近づいて来た。

梨香は、腕を押さえながら聞いた「お前は誰だ?」

女「私は早紀よ」

梨香「早紀か…お前がいるのを忘れていた。…さあ、殺すがいい」

早紀「あなたみたいな有名人、殺せないわ。さあ、お行きなさい」

梨香は、フッと不敵に笑うと森の奥へ走り去った。それを見届けた早紀も森の中に去っていった。

傷ついたよう子のもとに甚兵衛、韓信、涼風が集まって来た。みんな傷を負っているが、どうやら無事のようだ。

甚兵衛が言った「D卿が気にかかる。急いで戻りましょう」

 

               ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

3人は西館に着いた。通路の向こうから、黒兜、黒鎧黒マントの男が近づいて来る。

D卿だった。甚兵衛がD卿に近づいた。そして胴太貫を抜いて高く掲げた。

D卿も手にした方天画戟を高く掲げ、お互いが軽くぶつけてカチンカチンと音をさせた。

まるで出会いを祝って乾杯しているように…D卿は去って行った。

 

韓信「今回もたくさん殺しちゃったね。ひょっとしたらまた蟄居かも」

よう子「その時は一緒に蟄居しましょう」

韓信「そうだね」

 

     (終わり)

 

 

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