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 俺はこの学園の柔道部二年生だ。

 昨年は一年生ながらも県大会で優勝して全国大会にも出場した。

 初戦は突破したが2回戦で敗退。

 俺はその結果に満足していない。

 しかし周りからは柔道部始まって以来の快挙を成し遂げたともてはやされた。

 悪い気はしないが夢はでっかく、理想は高く。

 次回は絶対上位に食い込んでやるために毎日練習に励んでいる。

 日曜日でも練習は欠かさない。

 俺は誰よりも早く道場に来て汗を流すことにしている。


「そういえば女子部から稽古つけてくれって頼まれてたんだっけ」

 隣で乱取りをしている主将が急に思い出したかのようにつぶやいた。

 俺には関係ない話だと聞き流していたのだが……

「悪いんだけどオマエ、行って来てくれないか?」


 俺がですか?

 でもなんで女子部に出向いていく必要が……


「女子達が言うにはここは男くさいから嫌なんだってさ。それに新人の一年を出すわけにも行かないしな。お前なら向こうも納得だろう?」

 柔道は確かに汗臭いし、この道場は男子用だからさらに汗臭い。

 しかしそんなことが理由になるのか?

 あれこれ気にしても仕方ないので、俺は主将の指示に従った。



 もともとこの学園は女子のみの楽園として有名だったが、近年の少子化で小、中、高等部ともに男子も入れ始めた。

その為、歴史だけ見れば女子柔道部の方が長い。

 たださっきも言ったが、俺たち男子部の全国大会行きは「柔道部」の快挙であり、つまりは女子部も含めて、今まで柔道部は公式大会で一度もまともな成績を出したことがなかったのだ。



(差別だよな、本当に)

 女子柔道部の道場を前に、俺は大きなため息を吐いた。

 今の俺たちの道場はもともと古くなった女子のもので、共学化と同時にほとんどの部が真新しい建物と交換された。

 それは大した実績のない柔道部においても同じこと。俺の前にある真新しい道場は、清潔感溢れる白壁の、広く、明るい雰囲気のものであった。

(……さて、どう入ったものか)

 自慢にならないが、俺の人生において女っ気は皆無だ。緊張まではいかないが、女子だけの場所に抵抗なく入っていける程ではない。

 正直、途方に暮れていると……

「――やっほ〜っ♪」

 声が聞こえて振り返る。

 そこには、快活な雰囲気の少女が立っていた。

 背は低く、俺の胸くらいまでしかない為、自然と見上げる形となる。

 後ろで一本に束ねたポニーテール。童顔で可愛らしい顔立ちだが、どこかイタズラ好きな猫のような印象を与える。

 あと目を惹くのは些細な振動でも揺れるほどに大きな双乳と――肩に担ぐ、円柱にまとめた柔道着。

 女の子は俺の顔を見ると、明るい笑みを浮かべて言った。

「へへっ♪ キミが出稽古の相手なんだ。ボクは真綿 くるみ、一応 女子柔道部の副主将だよ。大会の時 一番前のところで応援してたんだけど、覚えてるかな??」

「え、あー……多分」

いたような、いなかったような……

「そっか。まあ、会場席だったからね。――それよりホラ、入ろうよっ♪」

「えっ!? ちょ、ちょっと……」

 真綿さんは恋人とするかのように僕と腕を組み、そのまま道場の方へ歩き出した。華奢な体とは似合わないくらい力強い。

「実はね、男子部に稽古依頼したのボクなんだっ♪」

「えっ? そ、そうなのか」

 ズルズル引きづられ、入り口にまで差し掛かる。

「ウン。実はねー、今女子柔道部って……」

 重い扉を開けて、中を見ると……


 広―っい道場の中央に、本を読んで座り込む女の子が一人。
 
「……おかえりなさいです」

 虫が鳴くほどの小さな声。

 それ以外は全くの静寂。

「あ、あれっ……し、審判ちゃんっ! 他のみんなは??」

「……やる気がないって帰ったです」

 審判ちゃんと呼ばれた、黒縁眼鏡の真面目そうな女子生徒は、淡々とした口調でそう言った。小柄で背の低いのは真綿さんとどっこいだが、こちらはどー見てもインドア派だ。

「えーっ、みんなにも証人になってもらおうと思ったのにぃ……」

「彼女らにとって柔道部は“部活には必ず参加しておかなければならない”ということに対するプロバガンダであって、実際に参加するかどうかはさして重要でないです」

「ぶーっ……これだから、やる気のない人たちはぁ!」

 怒ったように頬を膨らませる真綿さん……普通はわざとらしく、ウザイだけの動作だが、この娘がやると違和感がなく可愛らしい。

「今日は、男子期待のエースとガチンコ勝負だって言ったのにっ!」

「? 何の話だ?」

「――えっ、あっ!?」「……私がお話しするです」

 明らかに「しまった!」という表情を浮かべる真綿さんの代わりに、近づいてきた審判ちゃんが言った。

「端的に言って、女子柔道部は廃部寸前です」

「……みたいだな」

 会話をしている我々を除いて、道場は外から聞こえるせみの音以外 静寂そのもの――掃除はされているが、明らかに活気がない。

「……ただでさえやる気のない人間のプロバガンダと利用され、かつて部長でもあった前・理事長の意向で優先的に残されてきた女子柔道部ですが、理事長も変わり、更に新しく出来た男子柔道部の活躍によって完全に圧迫され、今月中には男子柔道部に道場を譲り渡しては、という話が出ています」

「そ、そうなのか……?」

「そうです。女子柔道部の部員のほとんどは名前さえ残っていれば良いので反対意見はありませんが……」

「――だ、ダメだよっ! そんなのっ!」

 真綿さんが慌てたように言い止め、目に炎を宿して言った。

「女子柔道は青春なんだよっ! 毎日の鍛錬と、深まる友情っ! 毎日の積み重ねが明日の勝利に繋がっていくんだっ! だからこそボクたちは――」

「……ああ、大体分かった」

 つまりやる気がある真綿さんだけが浮きこぼれになってしまった訳だ。

「で、それが男子の出稽古と何の関係が?」

「……道場破りです」

「道場破りぃ?」

「はい。全国大会に行ったという程の男子柔道部の部員と戦い、勝利することで名声を得て、少なくとも一人は女子柔道部に優秀な人材がいることをアピールするです」

 まあ、分からんでもないが……それでいいのか?

「純粋に柔道したいなら、他の高校に行くとか、他の方法もあるだろ?」

「そ、そうだけどさ……」

 真綿さんは両手の一刺し指をつんつんしながら、恥ずかしそうに言った。

「出来ればみんなと卒業したいし……」

「……」

 ちょっと、可愛いなと思ってしまった。

「……分かった。受けて立とう」

「――ホントっ!? ありがとっ!?」

 真綿さんは飛び跳ね――そのたびに大きな胸がたっぷんたっぷんと揺れる、くらい喜んでいる。

「良かったですね、くるみ。さすが、くるみが見込んだ男です」

「ちょ、ちょっと審判ちゃんっ!!」

 なぜか真綿さんは顔を真っ赤にしてしまった。どういうワケが、ちらっと俺の顔を見ると恥ずかしそうに俯いてしまう。

「――ただし、手加減はしないぞ?」

「もちろんだよっ! へへっ! じゃあ、着替えてくるねっ!!」

 真綿さんはそのまま更衣室へ走っていってしまった……


「……ふっふっふっふっふっ……」

 真綿さんがいなくなった途端、審判ちゃんは黒オーラを出して笑い始めた。圧倒的な黒さに、俺はついたじろいでしまう。

「受けてしまったですね、全て計算通りです」

「な、何だと……?」

「貴方がサンプルとなってくれたのは本当に幸運でした。貴方の男気や、誠実さ……全てのデータから算出した結果……」

 審判ちゃんはにやりと笑っていった。

「……貴方は今日、くるみに負けます。柔道家として、男として、二度とあの娘に勝つことはできません」

「ああ?」

 流石にカチンと来て、俺が不機嫌な声を出すと――

「私は強い人間が嫌いです。背が高くて、体型に恵まれていて、スポーツ万能な人間を見ると腹が立って……どんどん弱まらさせたくなるです。その為の手段の一つが、あの娘です」

 どす黒いオーラを出しながら、審判ちゃんはくっくっくっと笑い出す。

「あの娘は純真無垢――良くも悪くも疑いを知りません。更に言えば、少々変わった環境下で育った為に一部の知識を欠如しています。道徳に関してはとても固いですが――性に関して羞恥を感じない」

「? それはどういう……」

「――よーしっ! 準備万端だよっ!」

 更衣室の扉が開き、真綿さんが出てきた瞬間、俺は強い衝撃を受けた。

 彼女が着ていたのは、柔道着ではなかった。柔道着はある程度 厚手の布で形成されており、ある程度の衝撃を吸収する。

 だが今真綿さんが着ているのは、夏用のシーツよりも薄手の、かなり薄い柔道着もどき……下手したら、しかも下の肌まで透けて見えそうな……

「な、なんだよっその格好っ!?」

「? あ。ごめんごめん。動きやすいように、審判ちゃんに作ってもらったんだ。これくらいのハンデなら、許してくれるよね??」

「は、ハンデって……恥ずかしくないのかっ!?」

「ほえ? 何が?」

 とぼけているのではなく、本当に分からないと言いたげな表情。

 この娘、本当に恥ずかしく感じていないのか……??

「ふふっ……可愛いです。何も知らない純真無垢な女の子が、あんな薄い布一枚の姿でいるですよ? ムラムラしてきませんか?」

「……お前の、差し金なのか」

「言っておくですが、あんな薄布で叩きつけられたら怪我しちゃうかもしれないですよ?? 投げ技はやめた方がいいですね。寝技に持ち込んでみてはどうですか?? でもへんなことしようとしたら、すぐ通報するですよ」

 審判ちゃんは俺にしか聞こえないような小さな声で囁いてくる。

「あなたは正々堂々柔道の試合で戦うです。あの娘には色々といいことを教えておきました。貴方たち男の子が骨抜きになるようなしぐさや方法を……もちろん、柔道の技で、ですけどね」

 審判ちゃんは最後にこう言うと、また硬質の無表情に戻って言った。

「さあ、頑張って骨抜きにされてくるです……ふふっ」



 数分後、俺と真綿さんは畳の上で対峙していた。もし今の俺の心理状況を表現するなら、まさに――

(まいったな……)

 この一言に尽きる。

 目の前には特注柔道着を身に着けた真綿さんが立っている。薄い布にほっそりとした体のラインが浮かび上がり、軽くジャンプしたりする度に柔らかそうなおっぱいが揺れる。

 目が合うと、真綿さんはニッコリと裏表のない笑顔を見せてくれて、更にどきっとしてしまう。

 彼女自身は羞恥など一切感じていないから、本当に普通の柔道着を着ているのと変わりなく軽く肩を回したりしているのだが――腕を上げたり下げたり、首を回したりと、何気ない行動の一つ一つが妙に艶っぽい。

(ううっ……)

 俺の中の健全の男子学生が、股間の中で蠢いていた。

「……どうしたですかぁ?」

 黒い笑顔を、俺にだけ見せるようにして囁いてくる審判。

「すでに前かがみのようですね。うふふふふふふふふふ」

(こ、この野郎……っ!)

 俺が文句の一言でも言ってやろうとした次の瞬間、

「――では、はじめるですっ!!」

 あまりに絶妙なタイミングで、審判は試合を開始し――

「いっくよーっ♪」

 真綿さんが突進してきた!

 グングン俺との距離を縮め、襟を掴もうとする。

 小柄ながらの突進力はかなりのものだ。

「ちっ!!」

 すばやく差し出された彼女の手を払い、サイドステップでかわそうとする!

「さっすがっ♪」

 嬉しそうに笑う真綿さんの笑顔にちょっとだけドキッとしてしまうが、すぐに次の手を打ってくる彼女を前に、油断など出来るはずがない。

 俺も襟を掴まなきゃ――っ!

 咄嗟に柔道家としての本能が働き、彼女の襟に腕を伸ばした――がっ!

 ――ふにゅうううううっ♪ 「きゃんっ!」

 柔らかい感触。甘い喘ぎ声。

「あっ……」

 襟ではなく、俺は別のものを揉んでしまった……!
 
 そう、それは――真綿さんの反則的に大きな乳房……

「……えっち」

 頬を赤らめて、色っぽく囁く真綿さん。

「い、いや、こ、これは――っ!」

 俺がうろたえてしまっていると、

「――なーんちゃってっ♪ 隙ありだよっ♪」

 一瞬の隙に真綿さんは明るい笑顔で、俺の懐に素早く入り込むと、体を密着させて――

 ぽよんっ♪ ぽよんっ♪

 柔らかい双乳の感触が俺の腹に当たってドキッとした瞬間、俺の足が払い倒された。咄嗟に反応し、何とか完全に技が入る前に逃れたが――

「――えいっ!」

 彼女は俺の襟元と股の下に手を入れて、押さえ込みに入った!
 
 俺の腹に彼女の大きなおっぱいがふにゅふにゅと押し付けられ、女の子の甘い柑橘系の匂いが漂ってくる……!

 ふわぁ……き、気持ち良い……

「あっ♪ すっごーい。膨らんじゃってるっ♪」

 真綿さんは上に乗った状態で、俺の股間を見つめていた。だがそこにあるのは羞恥とかではなく、面白いものを見つけた子供のような笑顔で。

「ふーん……えへへっ♪ 気持ち良いんだね、ボクに技を掛けられちゃって」

「え……っ!?」

「審判ちゃんから聞いてるんだぁ。男の子って女の人に柔道技を掛けられると、気持ち良くってここを大きくしちゃうんだってっ♪ だから合同で柔道はしないんでしょ?? 女の子に簡単に負けちゃうと格好悪いから」

 い、いや、当たっているような、外れているような……

 そんな俺の心の声を聞くことなく、真綿さんは少し悲しそうな声で――

「ゴメンね、ちょっと卑怯かもしれないけど……女子柔道部を守るにはこうするしかないんだぁ……その代わり、精一杯気持ち良くしてあげるから、許してっ♪」

 ふ、ふわぁ……

 真綿さんの細い体が密着するだけで興奮してきちゃうのに、薄布越しの巨乳が俺の克己心を奪い去っていく。

 ――やっぱり反則だよぉ…この服はぁ……

 そのまま夢見心地で、なすがままになってしまいそうなところを――にやにやと笑う審判を見て、我に返った。

 ――こんなことではいけないっ!

 俺は腹に力を入れて、一気に立ち上がるっ!!

「は、はわわ……っ!!」

 真綿さんは慌てて飛び退くと、反撃を食らわないように受身を取って態勢を立て直した。

「へへっ♪ やっぱ強いねっ♪」

 嬉しそうに笑った。おそらくは骨のある相手を見つけて純粋に嬉しいのだろう。

 これでまだ彼女が悪意の人間ならば戦う意志が保てるのだが、真綿さん自身は良い人なので困ったものだ。しかも可愛くてエロくて……健全な男子学生には最大の強敵だった。

「――じゃあ、これでどうだっ♪」

 また猛スピードで距離を縮めてくる真綿さん。

 ステップバックする俺。

 だが――

「――取ったっ♪」

 真綿さんの小さな足の裏がヒットする。

「う、うわっ!!」

 背中から畳に打ち付けられるのを回避するために俺は体をひねる、が――

「有効ですぅ!」

 憎らしい審判の一言で、俺はとうとう判定を取られてしまったことを知った。

 すぐに立ち上がらなくちゃ……っ!

 そう思った次の瞬間。

 むぎゅぅぅぅぅううううっ♪

 俺の顔の真上には、上下逆様の態勢となった相手選手の乳が目前にまで迫り、むぎゅっと柔らかい乳房が胴着越しに押し付けられてしまった!

 固く真新しい胴着の匂いと、その向こう側にある未成熟な少女の甘い果実のような匂いが汗と交じり合って、初々しいフェロモンを漂わせてくる……

 ……やわらかぁい……

 ……良い匂い……

 抵抗する意志が、柔らかいおっぱいの感触と甘い匂いに蕩けさせられ、胴着の下のペニスが、窮屈なほどにギシギシと固くなってしまう……

「……あはっ♪ 息が荒いよぉ? 興奮してきちゃった??」

 高校生とは思えないほどの大きな乳房を持つ少女――真綿さんは、甘い声で上から囁いてくる。

「きみのおちんちん……また大きくなってる。えへへっ♪ 確か勃起って言うんだよね?? ここから見てて分かっちゃうよ?? でもいいのかなぁ? このままだと負けちゃうよぉ?」

 そ、そうだ。今の姿勢はまさに上四方固め――

 顔を上からおっぱ……いや、胸で押さえ込まれ、脇の下に俺の腕が挟みこまれて帯を取られている。このままでは判定で一本取られてしまう……っ!

 た、立たなきゃ……で、でも……

「抜けないのー? へへっ……こっちは別の意味でヌけちゃいそうなのにっ♪」

 ふっ……ふっわぁ……!?

 女の子は上体を上げ下げして、大きくてふわふわなおっぱいを顔に何度も押し付け、可愛らしくも淫靡に挑発してくる……!

「ねえ、ほらぁ。抵抗して見せてよぉ。ボク、腕の力ないからぁ、キミが頑張れば簡単に返せるはずだよ?? 腕を抜いて、ひっくり返して、ボクのこと負かして見せてっ♪」

 ふっ……ふぐぅ……

 甘い声の少女の可愛らしい挑発に答えたくて、上体を起こそうとしても――

 ふよんっ♪ ふよんっ♪

 最大の――柔らかい乳房の壁が、俺の立ち上がろうという決意を鈍らせ、ずっとこの心地良いぬくもりに包まれていたいと思ってしまう……

「こらぁ、いつまで甘えてるつもりぃ?? ボクのおっぱいに何度、顔をぱふぱふされれば気が済むのかなぁ??」

 くすくす笑いながら、優しくからかうように言葉で責めてくる。

 ひょっとして、真綿さんって……S?

「ねぇ、勝ちたくない? 負けたくないでしょー?? 全国選手が負けちゃったら格好悪いよ?? それでもおっぱいにぱふぱふされて負けちゃいたいの?? それくらい、ボクのおっぱいが気持ち良いのかなー??」

 ふよんっ♪ ふよんっ♪

 優しい言葉責めと甘く柔らかいおっぱいの感触に、克己心がどんどんと失われていく……勝ちたいという思いがどんどんとろけ、ペニスはどんどんと勃起していく……

「あらら? もう、抵抗する力もなくなっちゃった?? それともボクに勝ちを譲ってくれるの?? えへへっ。優しいんだね、キミって。勝ちを、ボクのおっぱいぱふぱふに譲ってくれるんだ??」

 真綿さんは、明るく笑って言った。

「胴着に染みが出来てきちゃったね。ボクのおっぱいでぱふぱふされて、我慢汁出てきちゃったんだ……窮屈で仕方ないよね? ボクに勝ちを譲ってくれるんだもん。最後はスッキリして負けたいよね?? なら、一回解いて、直接触ってあげよっか?? えへへっ♪ 審判ちゃんから色々教えてもらったんだよ? えっと……パイズリだっけ? ボクのおっぱいで挟んで、どぴゅっ! っと……」

 彼女の言葉を最後に、我慢していた俺のペニスは――

 一度も触れられることなく、射精してしまった……


「……うわぁ。すっごぉい……熱くて白いの、いっぱい出てきちゃったぁ……これが“しゃせー”なんだね。気持ちよすぎてギブアップしたい時に出しちゃうって……ボクの技、そんなに気持ちよくなっちゃったんだぁ……」

 微笑ましいものでも見るように、彼女は言葉で優しく責めてくる……

 たった一度の射精なのに体中から力が抜けて、しかもおっぱいの感触と匂いの幸福感に包まれて……目蓋が、重い。

「あはは。眠くなってきちゃったみたいだね?? 女の子に上四方固めされるとみんな眠たくなっちゃうって話だけど……そんなに気持ち良い??」

 俺はコクリと、おっぱいの下で頷いた。

 彼女はあははっと明るく笑って、勝利宣言をした。

「じゃあ、ずっとこうしてあげるよ……」

 嬉しそうに笑いながら、真綿さんは優しく囁いてくる……

「リベンジはいつでも受け付けるから、また来てねっ♪」



「……やれやれ、世話が焼けるです」

 二人の試合が終わる頃、通称「審判ちゃん」は一人で道場から出ていた。

「……まったく、異性に声を掛けることすら柔道がないと無理なんて、どこの昭和人ですか。お膳立てする方の身にもなって欲しいものです。まあ、本人は本当に女子柔道部を守ろうと思っているでしょうが……」

 プルプルと、携帯電話が鳴る。見ると、彼女の恋人からのメールだった。見ると文字盤には一言、

「どうだった?」

「……結果オーライといった感じですが、あの大根ぶりはどうかと思いましたです……」

 陰から見ていたが、もうちょっと自然に出来ないものか。もしも彼が途中で不自然さに気付いてしまったら、この計画全てが水の泡だ。

 もともと男子柔道場が古いのは学生の合意の上だ。女子柔道部が弱小と化しているのは本当だが、自分と真綿が入れば問題はないだろう。春からの新入生に期待する他ない。

「今日はベッドの上でガチガチ責めてやるです……っと」

 彼女はメールで自分の恋人へとメールを送る。



 審判ちゃん、本名 真間 法子。

 二年生――女子柔道主将。

 ちなみに彼女の恋人もまた、男子柔道部の主将をしている……



END

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