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4.ドラゴンスリーパー (mezamashiさんより)


ズウン……ッ!!

視界が反転し、また畳に叩きつけられる。

重い体を起こそうとするが、息が切れて、汗ばかりが流れ落ちる。

せめて亀にならなければ…!

……だが体がついてこず、理奈に背後に回られてしまう。

(絞められる…!?)

反射的にアゴを引いて、手を入れられないようにする。

何度か、理奈が手を首にこじ入れてこようとしてくる。

そのたびに、必死でアゴを引き、取られないようにする。


「うーん、さすがに力だけは強いな〜」


俺の背後で膝立ちのまま、理奈がつぶやく。


「じゃあ、こうかな♪」


ぐっとアゴに力を入れた俺。

だが予想に反し、突然視界が遮られ、頭が後ろへひきずり込まれる!!


「ふふ、見えない? わきで絞めてるんだよ〜♪」


わき?? ドラゴンスリーパー??

それ柔道と違う!と言うはずの声は、顔ごと後ろへひきずり込まれたせいで、音をなさない。


「もう柔道の勝負はついたでしょ?だから、こっからはプロレスごっこしてあげるよ」


「ほら、ほら♪」

ググッ、ググッ、ググッ、ググッ……


リズムをつけて、顔をワキで挟みあげてくる。

そんなにすごい力ではないが、女の子にしては結構強い…

何度も何度も、リズムをつけながら絞めてくる。

いつの間にか、両足が俺の腰に回っていて、フックされている。



「ふぅー、こんどはこっちね」


俺の顔をワキで捕まえたまま、両足でギューっと絞めてくる。

胴絞めだ!脚がお腹に食い込んでくる。

俺は腹筋を張って、これ以上脚が食い込まないように踏ん張る。

しかし息が苦しい……

鼻や口が、ワキで塞がれていて、空気がほとんど吸えない。

ハァハァと音をたてながら、少ない酸素を必死で吸い込む。


「ちょっ…! こら、くすぐったいよ、変態みたい!」


そんなこと言われても…!

こっちは死活問題なんだ、ほかに選択肢なんてないんだ!

ハァハァ!フガガガ!!フゴゴゴゴ!!!フゴゴゴゴゴゴ!!!


「きゃぁ、変態!!においすぎ!!汗かいてるのに…!」


ズオオオ、ズオオオヲヲ、グゴゴゴゴヲヲヲ!!!

「……もう、怒った!」


再びワキに力が加わり、顔を絞め上げられる…

ますます空気のすきまが減ってしまう。

さらに、胴に絡まる足が、絞める動きから「押し下げる」動きに変化する。

同時に、顔を挟むワキは、「後ろへ引っ張り込む」動きに変化する。

リズムと反動をつけて、その動きを何回も繰り返してくる。

グイッ、グイィッ、グイィィッ、グイーィィィッ……


いやだ…体がバラバラにされそうだ!

両側に引っ張られて、中心の背骨がきしんでいる感じだ!

エビにされたら絶対だめなのに、勝手に体が反り返っていく!

息が苦しすぎる!酸素のあるところはどこだ!!

外れてくれ…! 外さないと死ぬ!! うぉぉおおお!!


グイーィィィッ!!!!


「くはぁ!!!」


抜けた!

ようやく、視界が暗闇から解放される。

鼻と口が自由になり、新鮮な空気をいっぱい吸い込める。

ああ、俺はこの世界に帰ってきたよ!!



だがしかしそれも一瞬……
 

ギュウウウウッ!!


「!!!!!!!」


反り返っている俺の体…そのガラ空きになったアゴに、

理奈の腕、そしてワキが入り込み…ゆっくりと絞めあげてきた!!


「はい、極まりました〜♪」


そんな!!!最悪だ!!!もう終わってるじゃん!!!

完全に上がってしまっている喉仏に、腕が絡んでくる!!

「男の子なのに…我慢できなかったねー?くすくす」

胴を絞める足にはさほど力は込められていないが、外せる気配なんて全くない!!

「あんまり痛くしないからさ、我慢してごらん?」


駄目だ…もう駄目だ…

息もできないし逃げれるわけない…

もうプライドも意地もボロボロだ…


「じゃあゆっくり絞めていくよー?」


ギュウウウッ!!!!


(!!!!!)


ギュウウウーーーーッ!!!!

(!!!!!!!!!!!!!!!)


バンバンバンバンバン!!!

即座に俺はタップをしていた。

残された力の全てを使って、力任せに畳を叩いて。


「えっ……もう?? まだぜんぜん…」


バンバンバンバンバン!!!

涙と鼻水と汗でぐちゃぐちゃになりながら、俺はタップし続けた。


「はぁ……」


ようやく喉にかかる力が緩められた。


「つまんない………あ、そうだ!!」


絞めはゆるめられた。

しかし、今度は下半身に…


スリスリスリスリ………


「あ、ああああっ???」


スリスリスリスリ………


「くすくす…気持ちいいでしょ?」


理奈が右足で…俺の股間をズボン越しにまさぐっている…!?


スリスリスリスリ………


「やる前からパンパンになってたよー?してほしかった??」

 
やばい…気持ちいい!!

急に股間にわき起こった、得体の知れない気持ちよさ。

それに抗うために、何とかしてもがこうとする。


「こらっ!力を抜いて。じゃないとまた絞めちゃうよ!」


ギュッ!!

喉に少し腕が食い込んでくる…!

あああああ!

もう絞められるのはイヤだ!言われるがままになるしかない…


「ふふっ、そうそう♪」

「苦しいのより、気持ちいい方がいいでしょ?」


スリスリスリスリ………


ああ…ズボン越しなのにめちゃくちゃ気持ちいい…


「いい感じだね?あたし、上手でしょ?」

スリスリスリスリ………

なんか足の裏っぽいところでこすられてる…

「最近は柔道よか、こういうえちぃ事の方が得意かも? なんてね♪」


スリスリスリスリ………

スリスリスリスリ………

や、やばい……


「ん?体がピーンて硬直してるよ?? もしかしてもう…」


やばい!このまま出すのはまずい!!なんていうかむちゃくちゃだ!!


ジタバタ!!ジタバタ!!!


「暴れちゃだめだって!イきそうなんでしょ?最後までしてあげるから!」


ジタバタ!!ジタバタ!!!


「こら!もう!!口で言ってわからないなら〜!!」


ギュウウウウッッッッ!!!!

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」

喉が……今までで一番強い力で押し潰される……!!!

ギュウウウウッッッッ!!!!

スリスリスリスリスリスリ!!!!

スリスリスリスリスリスリ!!!!


「ほらっ、イっちゃえ!!」


ギュウウウウッッッッ!!!!

スリスリスリスリスリスリ!!!!

スリスリスリスリスリスリ!!!!

ああああ!!目が開いてるはずなのに視界が真っ暗になっていく!!!

体がバラバラに分解したみたいになって意味がわからない!!!

俺と別のところで勝手に気持ちいいチンコが噴火して爆発するーー!!!


ビュプウウウウッッ!!!!!

ドク、ドクドクッ、ドクドク!!!!!


「よしよし♪ 出てる出てる♪ もっと……って白目剥いて泡吹いちゃってるーー??」


ドクドク、ドクドク、ドク………


「あちゃぁ〜〜…… 完全に別の国に逝っちゃってるね……」


ドク、ドク………


へんじがないただのしかばねのようだ。


「あ、止まった。どうしよう後始末。」

「ま、いっか♪ そのうち目覚めるっしょ♪」


てきぱきと胴着から制服に着替え終わった理奈は、しかばねに向かってつぶやいた。


「しっかし、少しは強くなってると思ったけど、全然だめだったねー?」



END

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