眼が覚めても、まだそこは悪夢の途中だった……
俺を正面から抱きしめる右京と、背後を固める左京。
その淫らな連携攻撃を見守る沙織。
「がぁ……」
もはやまともに声を出すことも出来ない。
俺は何度も何度も魔性のくノ一たちに精を捧げていた。
「んっ、あ……ぐあぁぁ!」
「さあ、お出しなさい」
右京の甘い言葉と太ももの誘(いざな)いに何度も枯れ果てる。
己の意思に関係なく白旗を揚げさせられる屈辱。
快感と引き換えに忍耐力を削り取るくノ一の淫技に抵抗することが出来ない。
「で…るぅ!」
「他愛ないわね……もっと激しくしてあげなさい? 右京」
「はい、沙織様」
背中に張り付いた右京が囁いたのと同時に、身体の芯が焼け付くのを感じた。
ドピュウゥゥッ
「かはっ!」
目の前が白く染まる。
短期間での複数回の射精に股間が痺れ、疼きだす。
右京と左京が入れ替わる。
「まだまだイけるよな?」
「少し休ませて……」
快感よりも痛みを感じようとする俺の身体を、左京は巧みな指技で封じ込める。
「優しくしてあげるよ」
荒っぽい口調が特徴の左京だが、男の股間を弄ぶ手つきは三人の中で一番優しい。
その落差に悩まされる。余計に感じさせられてしまう!
このまま俺は自害することすら許されず、彼女たちのされるがままに快楽漬けにされてしまうのか……
―― それは困るな ――
突然、俺の心に響く声。
それはくノ一たちに抱きしめられ、だらしなく身体を緩ませる俺の意識を少し目覚めさせる。
(幻聴か?)
しかしこんなところに助けなど来るはずもない。
いよいよ俺も終わりか…
「誰っ!?」
くノ一たちが愛撫の手を止めた。
そして周囲を警戒し始める。
どうやら幻聴ではなかったらしい。
―― 仮にも「さすけ」を名乗るものがこの有様では ――
「左京! 右京! 二人とも気をつけて……来るよッ!!」
先ほどまでの妖艶な雰囲気を捨てた沙織が、気合と共に左京と右京に向かって叫ぶ。
左京も俺の身体を地面に横たえる。
ほんの一瞬だけ、隙が出来る……が、自力では逃げ切れないほど俺は消耗している。
ふいに俺のそばにいた左京が何かに突き飛ばされて仰け反る。
「うわあああぁぁ!!」
左京が悲鳴を上げながら後方に吹き飛ぶ。
まるで突風に吹き飛ばされたように!
「……」
俺の前に突然現れた人影は目にも止まらぬ速さで左京を投げ飛ばした勢いで、右京に迫る。
静かな闇の中を流れる風のように、無駄のない動きだった。
「きゃあぁ」
それを合図に右京に襲い掛かる影。
右京の小さな身体が弾かれ、俺から遠ざかる。
影の動きが速すぎて俺の目でも正確に捉えることが出来ない!
「破っ!」
「!!」
沙織は素早く手元で印を結ぶと、虚空に向かって拳を突き出した。
その直後、左京と右京を襲ったであろう影が吹っ飛んだ。
「逃がさないッ」
「……」
月の光を反射する刃と共に、追い討ちをかける沙織。
鋭い攻撃を避けつつ沙織をいなす影。
二つの影が、風ひとつない月夜の闇に舞い踊る。
(こいつら、速い……!)
くノ一沙織の動きは俺を軽く超えていた。
そのしなやかな動きに思わず見惚れてしまうほどに。
(今のうちに退くぞ?)
まったく気配を感じなかった。
俺の真横に誰かがいる!?
「なっ……」
急に耳元で低い声がしたかと思うと、俺の身体がふわりと浮き上がった。
「沙織様っ」
こちらの異変に気づいた左京が叫ぶ。
沙織の意識がそちらに向いた瞬間、
激しく切り結んでいたはずの影が消え去った。
狐につままれたように呆然とする沙織のそばに寄り添う右京。
「あれは幻術……まんまと逃げられたわね」
「沙織様、彼の仲間でしょうか?」
「きっと違うわ。それにこの感じ……」
「お心当たりがあるのですか?」
「……ううん。なんでもないわ、右京」
沙織は不安そうな表情をする右京の頭を軽く撫でた。
そしてまだ立ち上がれない左京の体を起こし、肩を貸して立ち上がらせた。
「彼はきっと私たちの元に現れる。私たちに対する復讐心が……男としての意地がある限りはね」
左京と右京はその言葉にうなずいた。
三人のくノ一たちは忍の里へと帰っていった。
くノ一の奪い方 第一部 完
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