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「ちはるちゃん! もう……」

「お兄さん、さっきからイきたくてしょうがないんでしょ?」

過ぎた寸止めのせいで身動きできない僕を見下ろしながら、千春ちゃんはニヤニヤと笑っている。
彼女の言うとおり、僕はもう射精のことしか考えられなくなっている。


「じゃあ言ってください……『舞よりも千春のほうが魅力的だ』って」

「えっ!!」

「別にいいじゃないですか。今だけでいいんです。千春の恋人になってください」

舞ちゃんを裏切ることなんて出来ない……
たとえほんのひと時でも、それで全てが終わってしまう気がするから!


「そんなこと……!」

「ふふっ、言えませんか? それが舞への愛の証明になるとでも思っているのですか?」

歯切れの悪い返事をする僕を見て、千春ちゃんの表情がさらに小悪魔的に変化する。

付き合っている彼女に対しては、最大限の愛情を注ぐのは男として当然のこと。
いくら体は快楽を求めているとはいえ、それは越えてはならない一線だと思う……。

「舞ちゃんへの想いを変えるわけにはいかない!」

「やだ、ますます燃えてきちゃう……じゃあ思い知らせてあげます。お兄さんの愛の脆さを」


千春ちゃんがとうとうパンティを脱ぎ去った。


(もうアソコが濡れてる……!)

遠めで見てもわかるくらい、千春ちゃんの秘所からはすでに淫らな雫が滴っている。


「おにいさん……」

僕の視線が釘付けになったのを確認した千春ちゃんは、少しだけ脚を開いた。
さらに左手の人差し指でその潤った膣口をクニッと開く。

トロリ……

「くふっ……ほら、もうこんなになってるの。千春のココ、お兄さんのが欲しくてたまらないって言ってるんですよ?」

「そ、そんなこといわれても!!」

「千春の大事なところにお兄さんの熱いものを埋め込んでみたくないですか?」

さらに千春ちゃんは僕の腰のあたりに片膝をついた!
ヒクヒクと震えながらも雄雄しくいきり立つペニスとの距離は10cm以内。

(あ、あれが千春ちゃんのアソコ……!)

本音では今すぐにでも入れて欲しい。
あの小さめのアソコでキュンキュン締め付けて欲しい!

でもそのためには……舞ちゃんを裏切る一言を彼女に伝えなくてはならない。
僕は思わず目を瞑った。
このままアソコを見つめていたら、いずれ誘惑に負けてしまう。

だが千春ちゃんがそんなことを許すはずもなかった。
さっきペニスから10cm以内に近づいていた千春ちゃんのアソコが、すでに1cm以内にまで近づいていた!

「えいっ」

「んっ……あっ、これはぁ!!!」

亀頭の先に確かに感じた柔らかい感触。
上質な絵筆で亀頭の先を舐められたような感触。

「お兄さんは千春の誘惑に絶対逆らえません。男の人なら誰だって……」

僕は不安になって薄目を開けた。

(ち、ちはるちゃ……ん!!)

もはやペニスと密着しているといってもいいほど、
至近距離で待機する千春ちゃんの秘所。

さっきの刺激はおそらく彼女の陰毛が亀頭をサワサワと撫で回した!?

「快楽に抗うことなど、出来るわけないですもの」

僕が薄目を開けているのを気づいているのか、
千春ちゃんは上半身はそのままで腰から下だけをクネクネとグラインドさせた!

「うああっ!!」

「感じますか? 千春のスペシャルテクニック……」

間違いない。陰毛による亀頭愛撫……
彼女の腰の動きに連動して、亀頭の表面をサラサラとした快感が流されている。

「私のアソコの入り口でお兄さんを焦らしてあげる」

ピチュ……

「ひっ!?」

い、今のは間違いなく膣口の感触!!
ヌメヌメした暖かさがペニスの先から全身に拡がる。

「ちはるちゃん……うああぁぁ!!」

ピチュ……ピチュッ、プチュ……

今度ははっきりとわかるほどにアソコ同士が密着した!
一気にガマン汁が先端からあふれ出す。
ペニスはもう彼女の膣内に入ることを切望しているのだ……

「でも絶対入れてあげませんから」

「そ、そんな……」

「舞への愛、素晴らしいことですわ。どこまでできるのか、千春に見せてくださいね?」


いよいよ千春ちゃんの腰の動きが激しくなろうとしていた。

ちゅぷ……ちゅぷちゅぷちゅぴっ♪


「あん……すごい、お兄さん」

彼女の腰のグラインドに上下の動きが加わった。
まるで亀頭だけがフェラされているかのように、どんどん快感が降り積もる。

(も、もう少しで挿入できるのにいいいぃぃぃぃ!!)

この上なくカチカチにされたペニスの先端だけを何度もかすめる彼女の膣口。
アソコ同士が接触するたびに淫らな水音が響く。

「この太いのが千春の中に入ったら、私すぐにイってしまうかも」

今の状態で挿入されたら、間違いなく僕が先に達してしまうだろう。
舞ちゃんへの誓いを自ら折らずとも、このまま彼女が腰を沈めてくれたら楽になれるのに!

「千春、お兄さんのことしか考えられなくなっちゃう……」

「えっ……」

「ふふっ、隙あり。先っぽがもうこんなにヌルヌルですよぉ……」

プチュプチュプチュッ!!

「うあああ!!」

千春ちゃんの甘い誘惑の言葉に魅せられ、気が抜けたところへの追撃。
精神的に無防備な状態で受けた快感は、僕の舞ちゃんへの想いを鈍らせた……


「このままクリだけ刺激して、私が先にイっちゃおうかな」

「い、一緒にイきたい……千春ちゃん……」

「うれしい……本当に一緒にイってくれる? お兄さん」

千春ちゃんは幾分腰使いを緩やかにして、僕の体の上でゆるゆると腰を回転させ始めた。
チュプチュプと音を立てながら亀頭がこね回され、クリトリスがツプツプと尿道をさす。
今までの上下左右の動きよりもジワジワと染み込ませるような甘い刺激。
ゆっくりと時間をかけて僕を蝕む作戦だろうか。

「あ、ああ……これすごいいいぃぃ……」

「ねえ、舞よりも千春のこと、好き?」

ここでまた彼女は愛撫を中断した。
快感と引き換えに僕の口から禁断の言葉を吐き出させようとしている。

「そ、それは……」

「ホントに今だけでいいのぉ。お願い、お兄さん……」

甘えるような声と、少し潤んだ千春ちゃんの瞳。
思わず心を許してしまいそうになる自分を必死で引き止める。

チュクチュクチュクチュ♪

「んはあぁぁぁ!!!」

もう少し僕が腰を突き上げたら確実に亀頭がすっぽり入るのに!
でも膣口が亀頭を舐めるのは本当に浅い部分だけ……

千春ちゃんの騎乗位のコントロールは残酷なまでに正確を極めていた。


「ああああぁぁ!!」

「ね? もっと気持ちよくなろ?」

小悪魔、いや淫魔のような千春ちゃんの誘惑。
堕ちてしまえばおそらく僕は彼女の虜になってしまうだろう。
舞ちゃんのことなどすっかり忘れるほど千春ちゃんにのめりこんで……

でもそれでいいのか?
残された舞ちゃんはどうなる?
それに舞ちゃんのひたむきさを好きになった僕自身の心はどうなる?

快感でしびれ続けている身体を、舞ちゃんへの想いが一時的に正常に戻してくれた。

「ち、千春ちゃん……だ、だめだよっ! こんなことしちゃ!!」

「え? なんでですか?」

彼女の腰振りがストップした。
千春ちゃんは驚いた表情でこちらを見つめている。

「きみとはもっと、素直な気持ちで向き合いたいんだ……」

「うふふっ、お兄さん? 口ではそんなことを言ってても身体は正直ですよ」

千春ちゃんがそっと股間に手を伸ばす。

「ほら、こんなに…………うそっ!?」

しかしそこにあったのはさっきまでの射精寸前のペニスではなかった。
ほんの一瞬だけ取り戻した理性。
僕はありったけの集中力を注いで、快感を鎮めていた。

「そんな馬鹿な……あんなにイきかけてたのに! イく寸前だったのに!?」

満ちていた潮が引いていくように、体中の疼きが、快感の波が消えていく。
少し落ち着きを取り戻してから、呆然としている千春ちゃんを抱きしめながら僕は言った。

「体の反応だけが全ての答えじゃないんだよ、ちはるちゃん」

「私の魅力が足りなかったということですか、お兄さん」

「ちがう。足りなかったのは他のものだと思う」

「それは一体なんですか!?」

僕の腕の中で泣き出しそうな千春ちゃんを見て、言葉に詰まる。
今は何を言っても傷つけてしまう。
そんな気がした。

「わかって欲しい。君みたいに可愛い子がこんなことしちゃいけないよ」

「……」

千春ちゃんは僕から視線を逸らすと、しばらく黙り込んだ。




「……さい」

「えっ!?」

やっと口を開いた彼女の言葉は小さすぎて聞き取れなかった。

「お兄さんのお名前を教えてください」

まっすぐに僕を見つめる千春ちゃん。
さっきまでの彼女とは何か違う、決意のこもった声だった。

「僕は……」

自分の名前を素直に教えてあげた。
それくらいなら舞ちゃんに対しても許されると思った。


「覚えました。そして、絶対忘れませんから」

最初に来ていた着物を身につけながら千春ちゃんは言った。
そっと袖口で涙を拭っていたけれど、それは見ていない振りをしてあげた。

「今度あったとき、お兄さんのことを下のお名前で呼びますからね?」

「えっ、それは……」

「大丈夫です。きょうのことは舞にはナイショにしときますよ」

その言葉を聞いて、なんとなく気が緩んだ。
さっきの様子からして、この子は悪い子じゃないと感じていた。
今日の出来事をネタにして、僕と舞ちゃんの仲を壊そうとするような卑劣な行為はないと思う。

「でも私、舞には負けませんから」

「えっ……?」

着替え終わった千春ちゃんがポツリと呟く。

「いつか絶対にあなたのこと、振り向かせて見せますからね!」

「!!」

自慢のツインテールを揺らしながら振り向いた彼女は、さっきよりも可愛く感じた。
千春ちゃんを見て、不覚にもドキドキしてしまったことは舞ちゃんには内緒にしておこう。

僕はこのフロアをあとにした。




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